混乱な時こそ正しい行いを--日本HPが事業方針を表明

國谷武史 (編集部)

2021-01-21 06:00

 日本HPは1月20日、事業説明会をオンラインで開催した。会見した代表取締役 社長執行役員の岡隆史氏は、持続的な成長と安全に軸足を置き、広範なポートフォリオを生かした事業運営に取り組むとした。

日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡隆史氏
日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡隆史氏

 2020年のグローバルの業績は、売上高が約5兆9000億円、利益が約4200億円、フリーキャッシュフローが約4000億円だった。利益とフリーキャッシュフローは前年並みを維持し、売上高は前年比で約2%減だった。岡氏は、「期初にコロナ禍でのサプライチェーンの混乱から10%近く減少したが、夏場以降に復調し微減にとどまることができた。グローバル経済が極めて厳しい中では堅調だったとも言える」(岡氏)と総括した。

 岡氏は、感染対策による企業のテレワーク導入からオフィスで使うPCやプリンターの需要の消失が懸念されたものの、結果的には在宅勤務環境を整備するための需要が生じ、これに対応できる広範な製品ポートフォリオが安定した業績の維持につながったとした。多様な製品ラインアップに加え、セキュリティやファイナンスサービスなどがテレワーク需要の獲得につながり、プリンティング分野でも多品種少量生産やオンデマンド印刷ニーズに対応する10機種の新製品を投入するなどした。

 2021年の市場環境は、コロナ禍で引き続き「在宅」と「非接触」がキーワードになるとする。

 「PCは一家に一台から一人に一台になり、プリンターも大型複合機からA4小型機が求められる。SNSで個人が世界を相手にクリエイティブを発揮することも身近になった。企業はAI(人工知能)やVR(仮想現実)のテクノロジー、自動化を取り入れる。安心の担保が重要であり、セキュリティがますます求められる。サステナビリティー(持続性)への関心も高まっている」(岡氏)

 事業方針は2020年を続けるとし、「サステナビリティーとセキュリティが製品づくりの軸になり、その上でサービスとパートナーによるさまざまなお客さまへのニーズに最適かつ最新のテクノロジーを提供していく」(岡氏)という。

2021年の事業方針の全体像
2021年の事業方針の全体像

 岡氏は、「HPは20~30年後までの間に起こり得るメガトレンドや変化を予測し、それに対応していく準備と投資を続けている。コロナ禍でもメガトレンドは変わらない。だが、その変化のスピードが早まり、HPのなすべきことをよりスピードアップして実行する」と述べた。また、「コロナ禍によって世界的な混乱が起き、これからの将来を予測しているが、(事業の持続性や安定した業績のためには)正しい行いをすることに尽きる」と話した。

 PC関連事業について専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏は、2020年に多くの企業顧客がテレワークの緊急導入に踏み切ったことで、2021年はテレワークやオフィスワークを含む新しい働き方が確立されていくスタート地点になるとの見方を示す。

 「2020年秋の調査では、企業のIT部門がテレワーク対応のためのPCの追加購入でIT支出を行っており、2021年も約9割がIT予算を前年並みか増やすとしている。2020年はデジタル化への緊急対応に追われたが、2021年からオンラインベースの業務に変更するといったテジタルを本格的にしていく動きになる」(九嶋氏)

 2021年も前年の方針を踏襲し、製品ラインアップ拡充のほか、導入しやすいツールやサービスの提供し、サポート品質の向上、自動化や省人化などの支援に取り組むとした。

PCなどのパーソナルシステムズ事業の方針
PCなどのパーソナルシステムズ事業の方針

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