調査

新たな顧客体験を定義せよ--アクセンチュア、コロナ禍で変化するトレンド解説

藤本京子

2021-03-30 10:11

 アクセンチュアは3月29日、社会やビジネスのトレンドを分析したレポート「Fjord Trends 2021」に関する記者説明会を開催した。同レポートは、アクセンチュア インタラクティブが、世界40以上の拠点で働く2000人以上のデザイナーの知見を集約して作成したもの。レポートの発行は今回が14回目となる。

アクセンチュア インタラクティブ本部 マネジング・ディレクター 兼 Fjord Tokyo共同統括 グループ・ビジネス・ディレクター 番所浩平氏(左)とアクセンチュア インタラクティブ本部 Fjord Tokyo共同統括 グループ・デザイン・ディレクター エドアルド・クランツ氏
アクセンチュア インタラクティブ本部 マネジング・ディレクター 兼 Fjord Tokyo共同統括 グループ・ビジネス・ディレクター 番所浩平氏(左)とアクセンチュア インタラクティブ本部 Fjord Tokyo共同統括 グループ・デザイン・ディレクター エドアルド・クランツ氏

 説明会の冒頭、アクセンチュア インタラクティブ本部 マネジング・ディレクター 兼 Fjord Tokyo共同統括 グループ・ビジネス・ディレクターの番所浩平氏は、「2021年のメタトレンドは『新しい領域の地図づくり』だ」と述べた。これは、2020年のメタトレンドとして予測した「原理原則の再考」を加速したものだという。

 「2020年に『原理原則の再考』をメタトレンドとしたのは、今後ユーザーから選ばれる企業になるには利益の追求だけでなく、社会環境問題に貢献しなければならない時代になるためだ。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)により、この状況が加速した。これまでの顧客像を改め、その顧客像に対して新しい顧客体験を定義しなくてはならない」と番所氏は述べている。

 今回の説明会では、アクセンチュア インタラクティブ本部 Fjord Tokyo共同統括 グループ・デザイン・ディレクターのエドアルド・クランツ氏が、Fjord Trends 2021で挙げられた7つのトレンドの中から、特に日本市場への影響が大きい4つを紹介した。

歴史的転換期への対応

 トレンドの一つは、世界全体で歴史的転換期を経験したことだ。新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、「人が物事を体験する場や方法が変化し、慣れ親しんだ快適さから切り離された感覚になっている」とクランツ氏。例えば、体験場所は都市から地方へと移り、生活は現実空間からオンライン空間へと移行していることなどだ。

 こうした環境では、これまでと同じ方法でブランド認知を向上させることは困難なため、「これまでの生活者像はもう存在しないと認識した上で体験を再構築すべきだ」とクランツ氏は述べている。

 体験を再構築した一例としてクランツ氏は、2020年のロンドンマラソンがバーチャルで開催されたことや、パルコが仮想現実でのショッピング空間「VR PARCO」を期間限定でオープンしたこと、Nikeが靴選びを支援するアプリを提供したことなどを紹介。「これまで現地で行われていたプロセスが、テクノロジーを活用することで場所を問わずに行えるようになった」(同氏)としている。

リチュアルの消失から新たなリチュアルの創造へ

 もう一つのトレンドは、生活のリチュアル(儀式や習慣)が失われていることから、従来のリチュアルによって人が感じていた安らぎを取り戻せるような仕組みが求められていることだ。パンデミックによって行動が制限されたことから、「新たなリチュアルを生み出すことが求められている」とクランツ氏は言う。

 その動きを見せている例としてクランツ氏は、Microsoftが「Microsoft Teams」上でバーチャル通勤機能を実装し、仕事と個人の生活を切り替えられるようにしたことや、Netflixがグループで同じ映像コンテンツを楽しめるよう「Netflix Party」を用意したこと、リモート飲み会用に食事とお酒を参加者に届けるサービス「nonpi foodbox」が登場したことなどを挙げた。

 クランツ氏は「米国では、パンデミック後に新たな商品やサービスを利用し始めた人が75%で、そのうち60%はパンデミック以降もその商品やサービスを利用し続けると答えている」とのデータを紹介。従来のリチュアルが消失したことで、その隙間を埋める新たな仕掛けを提供する機会が生まれているとした。

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