ビジネスチャット「Slack」を提供するSlack Japanは日本オフィス開設から2年目を迎えた。2年目を記念して4月20日に自社のビジネス概況とユーザー企業の導入状況を披露するオンラインイベントを開催した。
2020年の7月と12月に行った米本社のグローバル調査(n=9000)によれば、コロナ禍によるリモートワークを実施した日本企業を7月と12月で比較すると、7月では「仕事における帰属感」がマイナス9.6、「生産性」がマイナス3と低調だったが、12月では「仕事における帰属感」がプラス3.9、「生産性」はプラス13.5と大きく向上した。
Slack Japan 日本法人代表 佐々木聖治氏
日本法人代表 佐々木聖治氏は「(リモートワーク下にある従業員の)意識変化が確認できる。ワークライフバランスやストレスレベルに課題が残りつつも、(Slackを通じて)快適なリモートワークを実現するための方法を(自社社員や顧客企業と)ともに考えたい」と今後の展開を語った。
「業務プロセスへの活用が盛んに」NECネッツエスアイ
コロナ禍でデジタルツールの重要性を再認識した組織は少なくない。Slackはリモートワーク下でも成長を継続し、日本市場において売上高は76%増、有償ユーザー数は79%増、カスタムアプリケーション開発数も69%増と拡大を続けている。
NECネッツエスアイ 取締役 執行役員常務 野田修氏
今回の記者会見はSlackのユーザー企業の担当者が、Slackの利点を各社の立場から語る形式となった。コロナ禍におけるこの1年の振り返りを聞くと、2019年からSlackを全社導入したNECネッツエスアイ 取締役 執行役員常務 野田修氏が以下のように語った。
「コロナ禍以前からSlackとともにスマートフォンを全社導入したが、部門内のコミュニケーションに活用する一般的な使い方にとどまっていた。だが、コロナ禍後はリモートワークを強いられ、既存業務への対応が難しく、(現在は)組織横断のコミュニケーションや承認プロセス、ボットによる(社員の)健康管理に加え、SI(システムインテグレーション)の作業工程や翌日の出社予定、“三密”を検出するシステムをSlackに組み込んでいる。さらに社員自らSlackの活用に着手し、コミュニケーションのみならず、業務プロセスへの活用が盛んになった」
2021年からSlackを全社導入したクレディセゾン 専務執行役員 最高技術責任者(CTO)兼最高情報責任者(CIO) 小野和俊氏は「全世界でリモートワークが進んだ1年」だと振り返った。
物理的なオフィスであれば気軽に会話できる雑談も「電話はマルチキャストできない。Slackの利便性を(過去に在席した企業でも)肌で感じていた。(それまで)部分的に使ってきたSlackの適用範囲を広げたことで、多くの社員が利便性に気付き、(コロナ禍でも)出社業務をせざるを得ない」(小野氏)としてクレディセゾンでも全社導入という判断に至ったと説明する。
同じく2021年からSlackを全社導入したベルシステム24 業務統括本部 DX企画局 局長 川崎佑治氏も、Slackがリモートワークを実施せざるを得ない企業の社員コミュニケーションを維持する手段になったと次のように強調した。