Intelが新たに発表したレポートによれば、企業がこのデジタル時代に競争力を維持するためには、エッジコンピューティングの導入で得られる新たなチャンスを全面的に取り入れる以外にないという。エッジコンピューティングで実現される技術には、「ウルトラコネクテッドな」自動運転車や、低遅延の拡張現実(AR)や仮想現実(VR)、ゲーミングなどが挙げられることが多い。
Intelは、ITリーダーの4分の3近く(72%)が、すでに革新的なサービスを提供するためにエッジコンピューティングを利用していると述べている。その目的は、新製品の開発や、新たな収入源の開拓、業務効率の改善などさまざまだと考えられる。
レポートでは、「企業はこれ以上エッジ技術を無視するわけにはいかない」と述べ、この技術が持っている、ネットワーク上で生み出され続けるかつてない量のデータを活用することによる潜在的可能性を強調している。
エッジ技術はその名の通り、コンピューティングサービスをネットワークのエッジに置き、サービスを利用する人間のできる限り近くでデータを処理することで、遅延時間を大幅に減少させる技術だ。
これは、エッジコンピューティングの処理がネットワークのエッジに置かれたデバイスで分散的に行われることを意味している。Intelが「分散インテリジェンス」の新時代について語っているのはこのためだ。今後は、サービスの提供に役立てるために、あらゆるオブジェクトを「スマート化」してネットワークに接続し、そこでデータを保管して処理できるようになる。
エッジ技術は多くの分野で役に立つ可能性がある。例えば医療の世界では、患者のバイタルサインを常に計測し、データを送信して評価や治療に役立てることができる、統合型のウェアラブルデバイスの形でエッジデバイスが活躍するかもしれない。またこの技術は、医療従事者を支援する自律型のロボットで活用されるかもしれないし、画像診断の深層学習モデルに使われて、健康問題の早期発見に役立つかもしれない。
エッジコンピューティングを導入する一番の理由は、ほとんどあらゆる業界で起こっているデータの爆発的な増加に対応するためだ。ユーザーのデジタル技術に対する依存が強まるにつれて、デジタル技術が生み出すデータの量もかつてない水準に達している。企業がそれらの情報をすべて処理して分析し、サービスの改善に役立てることもできるが、それには膨大な計算能力が必要となる。
生成されたデータをすべてクラウドに送って処理することは非現実的であり、遅延の問題も生じる。そこで登場するのがエッジコンピューティングだ。データを生み出しているのがスマートフォンであれ、PCであれ、IoTデバイスであれ、センサーであれ、そのデータを処理するコンピューティング能力をデータの発生源の近くに置くほど、データの量も処理しやすい水準に収まる。