数十億台規模のIoTデバイスと5Gネットワークが組み合わせられるようになった結果、コンピューティングワークロードの配備方法に大きな変革が訪れようとしている。
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ここ数年、コンピューティングのワークロードがシフトし続けてきている。最初のシフトは、オンプレミスのデータセンターからクラウドに向けたものであり、今起きているシフトは、クラウドのデータセンターから、処理対象のデータソース近傍にある「エッジロケーション」に向けたものだ。その目的は、データの移送距離を短くして帯域幅とレイテンシの問題を低減することで、アプリやサービスのパフォーマンスや信頼性を向上させるとともに、運用コストを引き下げるというところにある。
これによってオンプレミスのデータセンターやクラウドセンターが消滅してしまうわけではない。一部のデータは今後も、中央で一括して保管、処理される必要がある。とは言うものの、デジタルインフラは確かに変化してきている。Gartnerの予測でも、2025年までに80%の企業が従来型のデータセンターを閉鎖するとなっている。ちなみにこの割合は2018年には10%だった。同社は、業務上のさまざまなニーズによって左右されるワークロードの配置は、このようなインフラの進化において大きな役割を果たしていると述べている。
業務要件に端を発する最近のITイニシアティブにより、しばしば従来のIT予算の枠を超えた、IoTソリューションや、エッジコンピュート環境、「非従来型のIT」の実装が急速に伸びてきている。また、対外的なアプリケーションの顧客エクスペリエンスと、貧弱な顧客エクスペリエンスが企業の評判にもたらす直接的な影響に対する取り組みにも力が入ってきている。多くの企業はこういった取り組みに注力する結果、ある種のアプリケーションの配置を、ネットワークレイテンシや、顧客密集度、地理的制約(例えば欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)のような規制)に基づいて再考するようになっている。
エッジコンピューティングにまつわる難題も存在している。特にコネクティビティまわりで発生し得る、ネットワークエッジにおける通信の中断や、低帯域幅および/あるいは高いレイテンシに関する懸念が存在している。膨大な数のスマートエッジデバイス上でソフトウェア(例えば機械学習(ML)アプリ)が稼働しており、中央のクラウドサーバや、中間層である「フォグ」(霧)に配置されたノードと通信する必要があるという場合、このようなコネクティビティは問題となる可能性がある。しかし、この問題に対するソリューションが考えられている。