EU、域内共通のデジタルIDウォレット計画を発表

Katie Collins (CNET News) 翻訳校正: 湯本牧子 吉武稔夫 (ガリレオ)

2021-06-07 11:31

 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は現地時間6月3日、EU加盟国の市民がスマートフォンに保存された新たなデジタルIDウォレット「European Digital Identity」を使用して、自分の身元を証明したり、電子文書を共有したりできるようにする計画を発表した。このデジタルIDウォレットがあれば、自国のデジタルIDを運転免許証や卒業証書、処方箋、銀行口座と紐付けられるようになり、取り扱いに注意が必要な個人情報を第三者と直接共有することなく、自分の身元を証明できるようになる。

EUのロゴ
提供:LightRocket via Getty Images

 EUのデジタル戦略「A Europe fit for the digital age(デジタル時代にふさわしい欧州)」担当のMargrethe Vestager執行副委員長は、「European Digital Identityにより、どの加盟国でも自国と同じように手続きできるようになり、その際に余計なコストがかからず、障害も減る」として、「これは、私たちの誰もが欧州に住むことや欧州人であることの意味をさらに実感できる、またとない機会になる」と述べている。

 欧州委で域内市場を担当するThierry Breton委員は自身の声明で、このウォレットの技術は本質的に安全で信頼できるものであるため、欧州企業はユーザーにさまざまな新しいサービスを提供できるようになるとしている。

 Vestager氏とBreton氏の説明によると、このIDは域内の市民が自国以外でアパートの賃貸契約や銀行口座の開設をしたり、または車のレンタル、納税申告書の提出、域内の大学に入学したりする際の手続きをさらに簡単にするものだ。そのため、こうした手続きを透明かつ安全な方法で行えるようになり、慎重に扱うべき個人情報を共有して危険にさらすこともなくなる。

 デジタルウォレットの導入計画で重要なのは、共有するデータをユーザー本人が管理できるようにするとともに、EU域内の希望者全員にウォレットを提供して、サービスを広く利用できるようにすることだ。EU加盟国は、国レベルで市民や居住者にウォレットを提供する義務を負うことになるほか、ユーザーがIDや年齢を証明したい場合にIDを受理する非常に大規模なプラットフォームも必要になる。

 欧州委はDigital Identity Frameworkの導入に向けた加盟国共通のツールを、2022年9月までに準備する計画だ。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    ChatGPTに関連する詐欺が大幅に増加、パロアルトの調査結果に見るマルウェアの現状

  2. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  3. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  4. セキュリティ

    いま製造業がランサムウェアに狙われている!その被害の実態と実施すべき対策について知る

  5. セキュリティ

    ランサムウェア攻撃に狙われる医療機関、今すぐ実践すべきセキュリティ対策とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]