日本リミニストリートは7月29日、世界の最高財務責任者(CFO)と上級財務責任者を対象にした意識調査結果を発表した。グローバルの調査結果レポート「CFO Peer Insights: Digital Transformation and IT Spending Priorities」、日本の調査結果レポート「2021年CFO Peer Insights:デジタルトランスフォーメーションとIT投資の優先順位」を閲覧できる(日本は近日公開予定)。
日本リミニストリート 代表取締役社長 脇阪順雄氏
代表取締役社長 脇阪順雄氏は国内の調査結果に対して、「コロナ禍でIT予算が抑制されている。CFOもDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性は認識しているが、既存システムの投資を削減するためにCIOと連携できていない。今をカーレースに例えれば、(中断を示す)赤旗が振られ、再開した状態。誰が一番加速できるかだ。危機感が薄いCIOを心配している」と解説した。
CFOも「技術が必要な時代であることは認識」
今回、日本リミニストリートが発表したのは、世界1572人(国内100人以上含む)のCFOや上級財務担当責任者を対象にした意識調査だが、記者説明会ではグローバルと日本のハイライトを取り上げた。まずはグローバルのハイライトから紹介する。
「企業の優先事項のトップ5にDXが入る(80%)」「DXが自社成功の鍵(71%)」「コロナ禍からの回復には技術への投資が不可欠(95%)」「コロナ禍によってDXへの投資が増加した(73%)」と、各国のCFOはDXの重要性を認識している。
だが、「大きな変化につながらないIT投資に大事なお金を浪費することは控える(67%)」「不要なIT投資への支出を削減したい(70%)」「確実なROI(投資利益率)をもたらすならば資金投入を検討(77%)」と財務責任者の立場を崩さない声も挙がった。
CFOが重視するIT関連の取り組みは、「既存技術に対する投資の最適化(44%)」「収益を生む技術関連のプロジェクト(40%)」「プロセス改善や従業員の効率化(39%)」が上位に並んだ。脇阪氏は「CFOも競争に勝つ経営戦略を実現するため、技術が必要な時代であることは認識している。ただ、現実に予算をかけられるか否かが数字に表れている」と説明した。
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次は国内の意識調査結果。IT予算への支出変化だが、「変化なし」は日本が14%(米国5%、グローバル6%)。逆に増加の声を合算すると日本は68%(米国87%、グローバル80%)という結果だった。
DX優先度を見ると、国内CFOの88%(米国73%、グローバル80%)がトップ5に数えている。脇阪氏は「日本のCFOも『DXが遅れている』という認識を持っている。米国(の優先度が低いの)は日本に対して5年先行している」からだと解説した。