シンガポールの防衛科学技術庁(DSTA)は、安全保障や防衛、人道的支援などの用途における脚式ロボットのユースケースを特定するため、フィラデルフィアを拠点とするGhost Roboticsと提携した。DSTAとGhost Roboticsは、都市部の困難な地形や過酷な環境に展開できる移動式ロボットシステムとそれを実現する関連テクノロジーをテストおよび開発したいと考えている。
DSTAとGhost Roboticsが現地時間10月14日に発表した共同声明によると、この提携では、Ghost RoboticsのロボットとDSTAのロボットコマンド、制御、および通信(C3)システムを組み合わせて使用するという。
DSTAのC3機能は、軍事プラットフォームおよびコマンドセンターの「神経中枢」であり、データ分析や人工知能、コンピュータービジョンテクノロジーを活用して、軍事作戦やそのほかの非常事態の際に「より緊密な調整」と有効性を促進する、とDSTAは述べている。
DSTAのロボットC3システムのおかげで、複数の無人地上システムや無人航空システムを同時に制御および監視し、共同任務(例えば、密集した都市環境での監視)のための全体的な状況概要を提供することが可能になった。
今回の提携の下、DSTAとGhost Roboticsは、多軸マニピュレーターと統合される4脚式の無人地上車両(UGV)の「新しいテクノロジーとユースケース」をテストおよび開発する。これらは、自動運転車が周りの環境やその中の物体と相互作用する仕組みを向上させる。
固体電池や燃料電池などの電力テクノロジーも統合して、ロボットシステムが長期間動作できるようにする予定だ。
DSTAのオペレーションズ担当副責任者兼ランドシステム担当ディレクターのRoy Chan氏は、「急速に進化するテクノロジーの世界で、ユースケースと革新的なソリューションを共同開発するには、組織間の緊密な協調が不可欠だ。Ghost Roboticsと提携することで、DSTAは、防衛におけるロボットの能力を向上させ、未来の戦場を形成することができると期待している」と述べた。
「ロボットは、いつの日か防衛者の最高の友になり、厳しい地形でより危険かつ複雑な作成を遂行するために配備されるようになるだろう」(Chan氏)
DSTAは、科学やテクノロジーを活用して、シンガポール軍(Singapore Armed Forces:SAF)の能力を開発する任務を負っており、これには自動運転車の使用も含まれている。国防省とSAFは2021年6月、進化する安全保障の課題と脅威に対処するため、変革戦略を発表した。これには、テクノロジーの進歩を活用して、データや新しいテクノロジー(ロボットC3システムなど)をより効果的に利用し、これらのテクノロジーを戦闘の概念に取り込んで、作戦の効果を高め、必要な人員を減らす取り組みが含まれる。
Ghost Roboticsによると、同社の4脚UGVは、車輪や無限軌道が付いた一般的な機器では効率的な運用ができない、未整備の地形用に開発されたものだという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。