カシオ計算機、JAXAと月面基地建設に向け位置測位の実験を開始

NO BUDGET

2021-11-30 16:56

 カシオ計算機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、独自の「カメラ可視光通信」を使った高精度位置測位システム「picalico(ピカリコ)」による測位実験を12月3日まで実施すると発表した。実施場所はサーティーフォー相模原球場(神奈川県相模原市)としている。

 実験は、野球場を月のクレーターに、フィールドを移動するトラクターを月面探査車に見立てて行われる。産業用カメラをトラクターに設置し、観客席に設置した複数のLEDライトから送信する可視光通信の信号を捉えて、それらから算出する位置情報データの精度を確認する。

月面基地イメージ(左)と月面における「picalico」利用イメージ(右)、JAXA提供
月面基地イメージ(左)と月面における「picalico」利用イメージ(右)、JAXA提供

 この実験は、カメラとLEDライトを使って月面を移動する月面探査車などの位置を正確に把握する技術の実証として行われる。JAXAは、2030年代以降、月面にインフラを構築し、持続的な探査を目指す構想を掲げているが、当面は月に衛星測位システム(GNSS)がないことを想定し、picalicoを活用して共同研究を実施することになった。

 picalicoは、LEDライトの発光色を変化させて信号を送信する独自の「カメラ可視光通信」を使い、主に工場の自動搬送機や台車、倉庫のフォークリフトなど作業動線の分析や所在管理に活用できる高精度の位置測位システムとして開発された。2019年3月に提供が開始されている。


「picalico」による計測の仕組み
「picalico」による計測の仕組み

 picalicoによる計測の仕組みは、まず、LEDライトの発光色を変化させて、信号を送信する独自の可視光通信を使用する。信号は、3色(赤・緑・青)の発光色を24回または12回切り替える色変化のパターンで構成され、そのパターンが1つのID情報となる。

 フォークリフトなどの現在位置を測位するには、車体に搭載したカメラで天井や壁に設置した複数のLEDライトを撮影し、ID情報を受信し、それぞれのID情報にひもづけられた座標を基に現在位置を算出する。

 なお、信号として送信する色変化のパターンは106万2882通りの組み合わせができるほか、カメラ1台で最大100個の信号を同時に受信することが可能だ。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    迫るISMS新規格への移行期限--ISO/IEC27001改訂の意味と求められる対応策とは

  2. セキュリティ

    警察把握分だけで年間4000件発生、IPA10大脅威の常連「標的型攻撃」を正しく知る用語集

  3. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  4. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  5. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]