ガートナージャパンは1月11日、「世界的な景気後退期における日本企業のIT投資への影響に関する調査結果」を発表した。世界的な物価上昇と景気後退を受けて日本企業が長期的なIT投資を削減させていることが分かったとしている。
調査は、2022年8月にIT導入・利用の決裁者にアンケートしたもの。それによると、「自社のビジネス成長にとって脅威となる外部環境要因」(複数回答、回答293件)の上位3つは、「長期的で、制御不能なグローバルなインフレ(原材料・製品/サービス価格上昇)圧力」(55%)、「グローバル/あるいは地域的な景気後退」(51%)、「長期的な経済の不確実性」(46%)だった。
図1.自社のビジネス成長にとって脅威となる外部要因(3つまで選択可)、出典:ガートナージャパン
また、世界的な「経済の不確実性」の高まりを背景に経営企画部門や財務部門から求められている対応(複数回答、回答284)では、「集中的な業務改善」(52%)と「支出の削減」(51%)が2つが多く、「支出の延期」(23%)や「新規雇用・人員配属の調整」(12%)が続いた。
図2.経営企画やCFO/財務部門から求められた経済不確実性への対応、出典:ガートナージャパン
プリンシパル リサーチャーの成澤理香氏は、日本の物価上昇の予想が先進7カ国の中で低く、経営企画部門や財務部門が要請する支出削減がすぐにIT投資の削減になるわけではないとしつつも、集中的な業務改善など短期的な投資が優先されると指摘。調査では、成果が出るまでに時間がかかる戦略的な取り組みへの投資を削減させた企業が増加させた企業よりも多いといい、 デジタルトランスフォーメーション(DX)などの優先度が今後下がる可能性があるという。高いコスト効率と変化への迅速かつ柔軟な対応で、将来の景気回復期に世界から取り残されない戦略が必要だと述べている。