アナリストの予測やその他の調査によると、経済的な逆風にもかかわらず、テクノロジー担当幹部は2023年にテクノロジー予算の増加を見込んでいるという。米ZDNETはテクノロジー担当幹部や業界関係者に話を聞き、支出の拡大が続く中でデジタルリーダーが2023年に優先的に投資しようと考えている分野を探った。
1. クラウドを機械学習の基盤として使用する
John Lewis Partnershipの最高データおよびインサイト責任者のBarry Panayi氏は、クラウドを最大限に活用することが、多くの従来型企業で2023年の大きなトレンドになると考えている。
「これは10年前から語られてきたことだ。今までは多くの人がクラウドを巨大なハードドライブのように扱ってきたが、クラウドには極めて重要な機能がある」とPanayi氏。
同氏がその一例として挙げるのは、クラウドに保存されたデータをMLOpsの基盤として使用することで、大きな価値を生み出せる可能性があることだ。MLOpsは組織全体の機械学習ワークフローの有効性を高めることを目的としている。
「自動化された適切なMLOpsは、ゲームチェンジャーになり得る。小売や動きの速い消費財においては、きっとそうなるだろう。何といっても、オンラインで買い物をする人が増えているからだ。当社は百貨店のJohn Lewisで有名だが、オンライン移行の規模が非常に大きいため、データ関連のあらゆるものをリアルタイムかそれに近い形で移動することが、当社にとって非常に重要だ」
2. メタバースに備える
コンサルティング会社のKPMGでグローバル最高デジタル責任者を務めるLisa Heneghan氏は、メタバースが過剰に宣伝されていると認識している。しかし同氏は、ビジネスリーダーがこの動きの速いテクノロジー分野への対応を2023年に開始する必要があるとも考えている。
「ある意味では、メタバースが次の大きなトレンドになるとは言いたくないし、メタバースとWeb3が2023年に本格的に普及するとも思わない。しかし、考え方を変えて、世界が今後5年でどのように変わっていくかを理解できるようにする必要があるとは思う」
Heneghan氏は、一段と没入感が高まる体験に若い世代がすでに慣れ親しんでいる点に注目しており、企業はメタバースに今すぐ取り組む必要があると指摘した。過去の他の大きなトレンドで、それができなかった企業は多い。
「クラウドが登場したとき、誰もが『クラウドとは何だ』と聞いていたのを覚えている。事を進めるのにクラウドのときほど時間をかけるわけにはいかない。メタバースでは、準備を整えておく必要がある。メタバースを理解し、テストを始めて、この技術がどのような違いをもたらすのか確認しなければならない」
3. データの信頼性と説明可能性を確保する
NatWestの変革および戦略担当責任者であるDavid Charnley氏は、オープンバンキング、人工知能、規制など、一連のデータ主導の重要な懸念事項を指摘した。「これらはすべて、注意深く見守る必要がある重要なトレンドとアクティビティーだ」
Charnley氏によると、もう1つの重要な問題は人材に対する需要であり、NatWestのような企業が自社のデータプラクティスの拡大を試みている時期には特に大きな問題だという。「現在のトレンドは、求人市場におけるデータ専門家の不足だと思う。今後もさらに逼迫するばかりだろう。これは英国市場の特徴であり、インドの市場や他のすべての市場の特徴でもあると思う」