日本シノプシスは1月25日、2022年に実施した2700件のソフトウェアのセキュリティテストについて結果の動向を発表した。対象アプリケーションの95%で脆弱(ぜいじゃく)性が検出されたと報告している。
テスト対象の内訳は、82%がウェブアプリケーションおよびシステム、13%がモバイルアプリケーション、残りはソースコードやネットワークシステム/アプリケーションになる。ペネトレーション(疑似侵入)テストや動的なアプリケーションセキュリティテスト(DAST)、モバイルアプリケーションセキュリティテスト(MAST)などの方法で、これらのアプリケーション検査を4300回以上実施したという。
これによると、調査対象の95%で何らかの脆弱性が検出(前年調査から2%減)され、そのうち20%(同10%減)は高リスク、4.5%(同1.5%減)は緊急リスクに分類されるものだった。72%が低/中程度リスクに分類されるものだったが、同社は、「低リスクの脆弱性でも攻撃の糸口に悪用される可能性がある」と指摘。例えば、ペネトレーションテスト対象の42%、DAST対象の49%からサーバー名やタイプ、バージョン番号などのサーバーバナーが検出され、こうした情報がサイバー攻撃者に悪用されかねないとした。
また、脆弱性の内容では、アプリケーションとサーバーの設定ミスが全体の18%(同3%減)を占めた。また調査対象の78%で、Open Web Application Security Project(OWASP)が指摘するウェブアプリケーションの脆弱性の上位10種に該当するものが検出された。対象の22%からクロスサイトスクリプティング(XSS)の脆弱性が検出されたが、前年調査から6%減少し、「本番アプリケーションに潜在するXSS脆弱性を最小化するための対策に、企業や団体が積極的に取り組んでいる様子がうかがえる」(同社)という。
さらにペネトレーションテストの結果では、対象の21%で脆弱なサードパーティーライブラリーの使用が見つかり、前年調査から3%増加した。
同社は、ほとんどの企業や団体で独自開発コード、入手が容易な商用オフザシェルフコード、オープンソースコンポーネントを組み合わせて販売目的あるいは社内使用のソフトウェアが開発されているとし、こうした組織の多くが、ソフトウェアに組み込まれているコンポーネントのライセンスやバージョン、パッチのステータスなどの詳細を正確に記した目録を正式な形で作成していないか、目録自体を作成すらしていないと警鐘を鳴らす。
こうした組織では、数百あるいは数千ものサードパーティーコンポーネントやオープンソースコンポーネントが組み込まれていることが多く、「コンポーネントの状態を効果的に追跡するためには、正確かつ最新のソフトウェア部品表(SBOM)の整備が急務だ」(同社)と指摘している。