ギブリーは4月4日、AIチャットボット「ChatGPT」を活用した法人向けプラットフォーム「法人GPT」を発表した。OpenAIのChatGPTを安全に業務利用できるサービスとして、同日から提供を始める。年間1000社の導入を目指す。
ギブリー 取締役 オペレーションDX部門長 山川雄志氏
ChatGPTは、ユーザーが提供するデータに応じて学習し、生成する応答内容を調整することができる。法人GPTでは、ユーザーとやりとりしたデータはOpenAIの学習に使われず、法人内で活用できる企業専用のChatGPT環境の構築する。12業種に特化した111個のプロンプト(命令)テンプレート機能を搭載し、「今後は企業独自のテンプレート開発環境も提供する」(取締役 オペレーションDX部門長の山川雄志氏)。利用料金は1ユーザー当たり月額980円、契約数は10ユーザーから。
同社が3月16~31日に実施した調査(有効回答数761人)によれば、ChatGPTを法人利用できているビジネスパーソンは皆無であり、9.7%の企業が利用を禁止していた。そのため、90.3%が個人で利用していたという。また、20.2%が「多用する」と回答し、41.9%が「時々利用する」、11.8%が「一度のみ」とした。未利用は26%だった。
多くの人がChatGPTの利便性に気付きながらも、「業務利用のイメージが持てない」「プロンプトを作るためのハードルが高い」「個人スキルに依存する上にノウハウが共有しづらい」といった声が寄せられたとしている。こうした課題を解決するのが法人GPTであるという。
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ChatGPTは基本的に個人単位でアカウントを登録する仕組みだが、法人GPTではIT部門による一元管理や、MicrosoftやGoogleのシングルサインオン(SSO)サービスで管理が可能となっている。ジェネレーティブAI(生成系AI)から得た知見を共有したり、従業員の利用状況を分析したりもできる。ChatGPTやAPIの新版がリリースされた際も、法人GPTを通じて利用できるという。
テンプレートは経営・事業企画、広報・マーケティングなど12職種を用意。一般的なChatGPTとの会話のほかに、文書要約や添削、翻訳、FAQ(よくある質問)の自動生成が可能。例えば、営業部門であれば、資料送付や見積もり送付の文面や、フォローアップやアポイント依頼の文言、キャンペーン告知や新規顧客へのあいさつ文、新規顧客へのお礼メールを下書きとして生成でき、顧客名や自社サービスなどの固有箇所に書き換えるだけで済む。テンプレートは今後も追加予定で、企業独自のテンプレート開発機能も2023年4月中に提供される予定だ。
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ギブリー 取締役 HRテック部門 Track事業責任者 新田章太氏
ギブリーは今回のサービス提供に加えて「プロンプトエンジニアリング研修サービス」も提供する。既存のテクノロジー人材育成サービスを、プロンプトエンジニアリングに特化させたものになる。取締役 HRテック部門 Track事業責任者の新田章太氏は、「単にジェネレーティブAIを学ぶだけではなく、社内やビジネスの課題を総合的に理解した上で課題解決につなげる研修パッケージ」だといい、AIの企業利用を支援する仕組みだと主張した。
山川氏は、ジェネレーティブAIをベースとしたソリューション開発や業務特化型のAIを通じて「1人1台、自分専用のパーソナルAIアシスタントの開発と提供を目指す」とアピール。また、データ保護の強化を目的に「Azure OpenAI Service」の利用も予定しているとした。