生成AIの「ChatGPT」の公開からわずか6カ月で、仕事に対する見方や日々の業務の遂行方法に大きな変化が生じた。
人によって意見は分かれるが、生成AIは人間の仕事を効率化するか、大半の人の仕事を奪うかのどちらかだろう。
ビジネスパーソンとその勤務先の企業にとって、当面の重要な課題は、生成AIを利用して生産性を高める方法を探ることだ。
5人のビジネスリーダーが、生成AIの調査や活用を自身と所属組織がどのような形で始めているかを語り、生成AIとの5つの関わり方を提案した。
1. 生成AIを試す
小売企業River Islandの最高情報責任者(CIO)であるAdam Warne氏は、すでにGPTの「試行」を開始していると述べた。Warne氏はこの調査が次の段階に進む前に、GPTを顧客向けサービスに使用する準備を整えたい考えだ。
「おそらく当社は、多くの人たちと同じような状況にあると思う」。同氏はこのように語る。「当社の用途は、ブログ投稿やマーケティングの投稿、製品の説明など、コンテンツのアイデアの生成だ。しかし、本番環境にはまだ導入していない」
Warne氏も他のCIOと同様に、AIの使用には慎重だ。現時点では、生成AIが社内で実行するあらゆる作業と、社外の顧客の目に触れるものの間に、「生身の人間」が介在する必要があるという。
しかし、同氏は自動化のレベルが急速に高まると予想しており、すべてのビジネスパーソンに生成AIの検討を開始するよう助言している。
「市場投入と発展のペースを考えれば、誰もが関心を持つべきだと思う」とWarne氏。「そうやってメインストリームになっていくものだが、本番環境での使用が可能になる日は非常に近いだろう」
2. 効率化に利用する
女性向けライフスタイルブランドHushでデータ責任者を務めるBrad Woodward氏は、生成AIツールがあらゆるビジネスパーソン、特にIT開発者の生産性を大幅に向上させる可能性があるとの考えを示すとともに、すでにその方法を検討中だと述べた。
「どのような捉え方をするか。他の人に使い方をどう教えるか。それによって仕事を効率化することができる」とWoodward氏。
「ChatGPTのようなツールで非常に興味深いのは、コードの記述やデータベースへの問い合わせといった作業で、どのような効率化が可能かという点だ」
Woodward氏は、自身の仕事での経験を例に挙げた。同氏は先頃、レポートモデルのプロトタイプを作成する必要があった。
ライブデータは使用したくなかったため、少し前までなら、モデルのサンプルデータを手動で作成しなければならなかっただろう。その代わりに利用したのがAIだ。
「ChatGPTに次のように伝えてみた。『このモデル用に多数のデータベーステーブルといくつかのサンプルデータを生成してほしい』。すると、100行が作成された。そこで、『もっと生成してほしい』と入力すると、1000行が作成された」とWoodward氏は語る。
「それくらい簡単だった。以前なら1~2時間かかったかもしれない。そのタスクを自動化できるようになった。生成AIに関するチーム内の議論では、このツールを利用した効率化の方法について話している」
3. ビジネスユースケースに焦点を当てる
小売とホスピタリティーの大手Landmark Groupでサプライチェーンプロジェクト担当グループ責任者を務めるPrakash Rao氏によると、ChatGPTには大きな可能性があるが、ビジネスケースに焦点を当てることが重要だという。「そうしないなら、単なる業界用語だ」(Rao氏)
Rao氏は、生成AIの台頭を、アナリスト企業Gartnerの「Hype Cycle for Emerging Technologies」で示されるイノベーションになぞらえた。どんなイノベーションにも「過度な期待のピーク期」があり、その期間中はIT業界や他の業種の人々に万能薬であるとみなされる。