JFEスチールと日本IBMは9月19日、JFEスチールが自社向けに開発した設備などの故障復旧支援システム「J-mAIster」を、国内外の顧客向けに今後共同で開発・提供するためのパートナーシップを結び、販売活動を開始した。
J-mAIsterは、設備などで発生した故障事象に対して、AI技術「IBM Watson」を活用して過去の故障履歴、対処履歴、各種マニュアルなどの膨大なデータから最適なデータソースを提供する。AI技術を活用した検索性により熟練者層の知識やノウハウを短時間で的確に取得可能としたことで、トラブルの早期復旧につなげる。
JFEスチールでは、2018年に自社の全製造ラインに導入し、過去の事例から知見や対応ノウハウを学ぶ教育ツールとしても利用している。また各事業所の製造設備で発生したトラブルに対して、保全担当者が全社の過去事例や復旧に必要な情報を効率的に参照し、早期復旧につなげる体制を構築している。同システムの導入により、設備トラブルの際に復旧時間の約3割を削減するなど大きな成果を収めており、操業支援にも用途を拡大している。
J-mAIsterの活用とシステム構成のイメージ
JFEスチールは今後、自社向けに開発した同システムを幅広い製造業ユーザーに利用できるようシステムを汎用化し、IBM Watsonと合わせて提供していく。さらに導入に最適なシステムの構成検討、調整業務も共同で行っていく。またその実現のために必要な基盤モデルの適用について、AIの効果をビジネス全体に拡大するために設計された、企業向けAIとデータのプラットフォームである「watsonx」の活用も含め検討していく。
