人工知能(AI)を搭載したエージェント、すなわち自動化されたアシスタントは既に広く普及しており、互いにコミュニケーションを取るまでになってきている。その結果、人々がテクノロジーとやり取りする方法に変革をもたらす強力なエコシステムが作り上げられようとしている。こうした流れの中では、エージェントのネットワークを発展させるとともに監視し、安全面での対策を実装できるスキルを備えた人材が求められるようになると考えられる。
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これはコンサルタント企業Accentureの予測だ。同社は、AIをはじめとするディスラプティブなシステムによって実現されるエージェントのエコシステムや、人間を中心に据えたテクノロジーの興隆について詳細に分析したレポートを公開した。テクノロジーが人間のように振る舞い、人々にとってより直感的に扱えるようになってきているとするこのレポートは、AccentureのPaul Daugherty氏とAdam Burden氏、Michael Biltz氏によって執筆された。同レポートには、「われわれを待ち受けているのは、テクノロジーが普遍的に存在するというだけでなく、空気のような存在となる世界だ」と記されている。
このレポートの著者らは、エージェントのエコシステム(相互接続されたAIの大規模ネットワーク)の興隆により、「企業は自社の情報戦略や自動化戦略を今までとは根本的に違う形で考えざるを得なくなるだろう」と説明している。こうしたエコシステムは、AIが単一のタスクを実行するところから、「適切な監視の下で互いに協力し、人や企業に代わって行動できる」ようなエージェントを支援していくというところにまで進化していく中で、発展していくと考えられる。
このようなかたちで相互接続されたAI搭載エージェントは、「われわれにアドバイスを与え、支援してくれるだけでなく、現実世界とデジタル世界の双方でわれわれに代わって意思決定を行うようになる」という。
著者らは、エージェントのエコシステムによって生産性は新たな段階に引き上げられると続けている。AIがエージェントへと進化していくとともに、「自動化されたシステムは自ら、すべきことを判断し、実行するようになる。つまり、エージェントは人間にアドバイスを与えるだけでなく、人間に代わって行動するようになる。AIは今後もテキストや画像を生成したり、洞察力を発揮し続けていく一方で、それらを用いて自らの行うことを決定するようになる」という。
その一例として、レポートの著者らはDoNotPayという会社を紹介した。この会社は、「コンシューマーのお金の節約を支援するために、駐車違反の反則切符に対する異議申し立てから、利用していないサブスクリプションの洗い出しに至るまでのさまざまなサービス」を提供している。
とは言うものの、著者らは「(こうしたエージェントは)ガイド役を果たす人間がいて初めて価値を持つ。人間の知識と推論能力が、エージェントのネットワークに優位性を与える」と述べている。また、エージェントネットワークの構築と管理に携わる人材には、エージェントの能力を確実なものにするためのガイドラインを設定するスキルが求められるとも指摘している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。