人工知能(AI)「Claude」を開発するAnthropicが、大企業による生成AI活用を後押しする狙いのもと、新プランの提供を開始しようとしている。「Claude Enterprise」と名付けられたこの新プランでは、さまざまな部署や職務で使用されているClaudeを統合する目的で作られた複数の新機能が提供される。
まず、Claude Enterpriseでは、50万トークンのコンテキストウィンドウを提供する。これはコンシューマー向けバージョンのClaudeによって用いられる20万トークンの2倍を超える数字だ。AIでは、コンテキストウィンドウのサイズが、チャットボットが保持し記憶できる情報量を決める。このサイズが大きいほど、AIが取り扱う会話データが増えるということだ。Anthropicによると、50万トークンのコンテキストウィンドウは、数百件の営業用スクリプト、100ページ以上のドキュメント、あるいは20万行分のコードに相当するという。
次に、Claude Enterpriseは、Anthropicが6月にリリースした新機能「Artifacts」も搭載している。Artifactsを使うと、Claudeはユーザーとの会話ウィンドウに併置する形で、ユーザーのリクエストに対する返答を完全にフォーマット化された形で表示することができる。これはウェブページやコンピューターコード、フローチャートなどのタイプのコンテンツをより手軽に視覚化して作業をするのに役立つ機能だ。
Claude Enterpriseのもう1つの便利な機能は「GitHub」との統合だ。この機能を利用すれば、ユーザーがGitHub上に置いているあらゆるコードやプロジェクトをClaude AIが直接閲覧したり、アクセスしたりすることが可能になる。つまり、チャットボットの力を直接借りて、プログラミングのタスクを実行できるわけだ。
Claude Enterpriseは、セキュリティやコンプライアンス、管理に関する懸念にも対応することを目指しており、企業の機密データの管理や保護を行う。
Claude Enterpriseプランでは、シングルサインオン(SSO)とドメインキャプチャー機能も備えていて、これによりIT管理者はユーザーのアクセスやプロビジョニング制御を管理できる。これは、適切なユーザーアカウントのみに必要な許可を与え、Claudeを通じて生成された機密データにアクセスできるようにする機能だ。
「先行して導入した顧客は、ブレインストーミングや社内プロセスの合理化から、コンテンツの制作や翻訳、コードを書く作業まで、さまざまな業務や仕事のステージでClaude Enterpriseを利用している」とAnthropicでは述べている。
提供:Andriy Onufriyenko/Getty Images
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。