製造向けソフトウェアソリューションを提供するDassault Systems(ダッソー)は、米国時間2月23日から4日間、テキサス州ヒューストンで年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2025」を開催している。

会場となった米国テキサス州ヒューストンのGeorge R. Brown Convention Center
このイベントは、同社の3次元コンピューター支援設計(3D CAD)、製造、解析ソリューションなどのユーザーを対象にしたもので、同社の3D CAD製品である「SOLIDWORKS」ユーザーのコミュニティーイベント的な意味合いが強い。同社によると北米、欧州、アジアから4000人以上のエンジニア、デザイナー、起業家などが参加したという。会期中は設計、エンジニアリング、ガバナンス、シミュレーション、製造、アカデミアに特化した250以上のワークショップやトレーニング、分科会セッションが開催される。

基調講演会場前で“待機”する参加者。ノリがいい
自然界から着想した「ジェネレーティブ エコノミー」とは
今回、イベントテーマの1つとなったのが「ジェネレーティブエコノミー(生成型経済)」である。これは、デジタル技術とAIを活用し、新たな価値を創造する経済モデルを指す。その核となるのは、バーチャルツインとAIによる自動生成技術を組み合わせ、製品開発や生産プロセスを根本から変革するアプローチだ。
バーチャルツインとは、実世界の製品やシステムをデジタル空間に再現した包括的な仮想モデルである。ダッソーはバーチャルツインを「デジタルツインの上位概念」として位置付けている。単なる3Dモデルの再現ではなく、対象の物理的特性や振る舞い、ライフサイクル全体を網羅し、実世界とデジタル世界をクローズドループでつなぐ。これにより、さまざまなシナリオのシミュレーションや検証、最適化が可能になり、製品性能の視覚化や予測、フィードバックを通じて継続的な改善を実現するというのが同社の主張だ。
ダッソーは、ジェネレーティブエコノミーの定義を「自然界からインスピレーションを得て、スマートな設計と無駄の削減を目指す経済モデル」としている。バーチャルツインで事前に問題を発見し、AIが最適な設計案を提案することで、資源の無駄を減らしながら製品を生み出す。従来の「作って売る」経済から「デジタルで検証し、最適化してから生産する」経済への転換を目指す。これにより、顧客体験(CX)向上と資源循環(サーキュラー)の両立を実現し、環境に配慮した持続可能なビジネスが可能になるとしている。

ダッソーはジェネレーティブエコノミーの実現を変革の第7世代と位置付けている
初日の基調講演には、2024年1月から最高経営責任者(CEO)を務めるPascal Daloz(パスカル・ダロス)氏をはじめ、顧客役割体験担当上級副社長のGian Paolo Bassi(ジャン・パオロ・バッシ)氏、SOLIDWORKS担当CEOのManish Kumar(マニッシュ・クマール)氏らが登壇。ジェネレーティブエコノミーを具現化するアプローチを語った。