スマートデバイスとSFAを活用する「方法論」とは
朝日インタラクティブは7月11日、セミナーイベント「ZDNet Japan スマートデバイスセミナー~実例で分かる! 導入・活用の成功ノウハウ~」を開催した。ソフトブレーンの講演では、同社取締役の木下鉄平氏が登壇。ソフトブレーンはSFA(sales force automation:営業支援システム)である「eセールスマネージャー」を提供しており、その知見をベースにした営業理論を軸に展開した。
ソフトブレーン 木下鉄平氏
木下氏はまず、営業課題とスマートデバイス活用状況についてデータを挙げながら説明する。1980年代は成長期であり「いいものを作れば売れる」という時代だったため、経営課題は「技術力」「新製品・新サービス」が上位に上がっていた。それがリーマンショックを機に変化が現れ、現在では「売上・シェア拡大」「収益性向上」「人材強化」がトップ3となったという。またシェア拡大のために必要と認識されていることは、現在は「より高度な顧客情報の収集と分析」が39%で第1位であるが、満足なレベルで顧客情報を収集・活用できている企業はわずか3.2%にとどまっているとした。
また、企業が自社の営業力を強化するために重要な施策として挙げているのは、「スマートデバイス(48.3%)」「最適な価格の提供(32.3%)」「クラウド型SFAの活用(30.2%)」となっており、実際にスマートデバイスを導入している企業も増加している。木下氏は、営業組織の「より高度な顧客情報の収集と分析」といった課題や優先順位を実現するには、営業力の強化が重要な施策であり、ツールとして「スマートデバイスの活用」「クラウド型SFAの活用」がある。「最適な価格の提供」というゴールを目指すには、ツールを活用する「方法論」が重要であるとまとめた。
木下氏は、システム部門と営業部門が連携を強めることの重要性も訴える。
システム部門は「営業部門は何をしたいのかを明確にしてほしい」「言われたことはちゃんとやってほしい」「作ったシステムはちゃんと使ってほしい」と考えている一方で、営業部門は「私たちは専門家ではないのだから、提案してほしい」「業務をちゃんと理解してほしい」と考えている。これを、ともに同じ方向を向いて違いを一致させるためには、スマートフォンとSFAが有効であるとした。スマートフォンを活用すればスピード感を持った取り組みが可能。システム部門は現場に寄り添って課題を把握し、専門家として提案するなど、姿勢を切り替える必要があるとした。
SFAが数値をまとめ「見える化」
続いてはビデオも併用しつつ、SFAの特長を説明した。業務効率を向上するためにはPDCAをしっかり回す必要があるが、"ぶつぎり"の仕組みでは無駄が発生し、ストレスになってしまう。SFAの特徴は「シンプルインプット・マルチアウトプット」。つまり、営業は一度だけ日報などの数字を入力すれば良く、SFAがその数値をまとめ「見える化」するので、管理者は案件リストや顧客情報、活動履歴など、営業効率を一目で判断し「勝ちパターン」を把握できる。これにより営業は、日報を入力するためだけに帰社する必要がなくなり、顧客接点を増やし残業を減らすことができる。
さらに、先週の会議と今週の会議の差分を確認できることは、Excelで管理している場合と大いに異なる点だ。ビデオでは、こういったSFAのメリットがわかりやすく紹介された。ツールとしてのスマートデバイスとSFAは営業改革を推進する強力なエンジンとなる。その上で木下氏はスマートデバイス活用のポイントとして「何に使うか・どう使うかはっきりさせる」「業務に組み込む」「システム部門からも『提案』を」を挙げた。
そして木下氏は「データ営業」を提案した。データ営業とは、たとえば効率よく成績を上げるために改善点を「数字」で示すなど、個々の顧客や案件対応ではなく営業生産性向上のキーポイントを把握することだ。また、営業の受注率を分解していくことで、改善点が見えてくる。さらに、目標を決めるのは非常に重要なことで、この目標から逆算して改善プロセスを明確にすることが大切であるとした。また、SFAの導入事例として、売上を2倍に、利益を5倍にした企業のケースを挙げた。ここではSFAにより「BANT」(予算、決裁権、必要性、導入時期)の定型化により業務を改善している。最後に、データの見方について説明し、木下氏は講演を締めくくった。
本講演資料は、以下からダウンロードが可能だ。