「日本では、ほとんどの企業が何らかのログを取得しているが、効果的にログ管理を実施している企業はまだ少ない。ログ管理を行うためには、その前提として、デジタルIDを適切に管理する必要があるのだが、多くの企業ではこれさえも不十分だ。」-- こう指摘するのは、ビジネスコンサルティングファーム大手、ベリングポイントのテクノロジーソリューション シニア マネージャーである山本直樹氏だ。山本氏は公認情報システム監査人であり、公認内部監査人でもある。
内部統制監査の指摘で再認識されるログの必要性
米国においては、2003年にサーベンス・オークスレー法(SOX法)が施行され、多くの企業は、内部統制の整備を進める中でID管理やログ管理の不備を認識することとなった。これらの不備を効率よく改善するためにID管理用ソフトウェアを導入し、情報システム上のIDを一元的に管理しようとする動きが多く見られた。
日本の場合、会社法および金融商品取引法の定め(いわゆるJ-SOX法)により、米国同様、上場企業等には内部統制の整備とその報告が義務付けられている。本年、上場企業からは続々とその報告書が公表される予定であり、今はまさにそのための最終段階にあると言える。初年度から一切不備がない企業はほとんどないと思われる。
中でもID管理の不備は目につきやすく、多くの企業において監査人に指摘されやすい。山本氏は「今後、日本企業が米国企業と同じ発想を持つとすれば、専用のソフトウェアを導入しIDを統合管理する動きが広がるのではないか。」と話す。そうなれば、効果的にログ管理を実施するための下地ができることになる。
今後ログ管理に取り組む企業のために、山本氏からアドバイスをいただいたのでまとめておこう。