海外コメンタリー

IoT市場の急成長で熱視線--注目すべきエッジコンピューティング企業10社

Conner Forrest (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2018-10-15 06:30

 モノのインターネット(IoT)とセンサの技術が進歩したことで、従来型のデータセンターから離れたところでデータが収集されるようになった。このため、それらのデータを収集された場所に近いところで処理しなければならないことが増えている。そこで重要になるのが、エッジコンピューティングだ。

 データを収集する機器のそばにコンピューティング能力を置くことで、低遅延を生かしてほぼリアルタイムでユーザーに知見を提供することができる。これによって、データの分析や認証などの処理をスピードアップさせることもできる。また、クラウドやデータセンターでさらなる処理を行うために、データセットのフィルタリングを行い、適切なデータだけを送信するのにエッジコンピューティングを利用することも可能だ。

 エッジコンピューティングはデータを生かすための技術だが、それにはマイクロデータセンターやアナリティクスプラットフォーム、スマートルータ、ゲートウェイなどのさまざまな技術も必要になる。この記事では、今後注目すべき10社のエッジコンピューティング製品ベンダーを紹介する。

1.Microsoft

 エッジコンピューティング市場にとって、三大クラウドサービス(「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」「Google Cloud」)は重要な存在だ。Forrester ResearchのアナリストBrian Hopkins氏は、その理由として、これら3つのプロバイダが、IoT製品にエッジやクラウドサービスで分散的に実行されるワークロードを管理するためのエッジゲートウェイやエッジアナリティクス技術を組み込んでいることを挙げている。

 Microsoftはこの分野の特許を300件保有しており、その多くがコンテンツのストリーミングに関するものだ。また同社は最近、コンテナモジュール、エッジランタイム、クラウドベースの管理インターフェースなどの機能を持つサービス「Azure IoT Edge」をリリースしている。

2.Amazon

 Amazon Web Services(AWS)も、エッジコンピューティングを簡単に導入するためのツールを数多く提供している。例えば「Lambda@Edge」を使えば、サーバをプロビジョニングすることなく、イベントの発生に応じてサーバレス関数を実行できる。また、コンテンツ配信ネットワークの「AWS CloudFront」やIoTサービスの「AWS Greengrass」は、AWSのエッジコンピューティング関連製品ラインアップを魅力的なものにするのに一役買っている。

3.Dell EMC

 Dellは2017年10月、同社のIoTに関する製品やサービスを統合する部門を組織し、研究開発に3年間で10億ドルの投資を行うと発表した。同社の重要な製品には、「Edge Gateway」、VMwareの「Pulse IoT Center」、「PowerEdge C-Series」のサーバ、「Isilon」のストレージ、「Pivotal Cloud Foundry」などがある。

 同社のIoTラボでは、IoTやエッジコンピューティングに関する複数の取り組みが進んでおり、これには「Project Nautilus」(ストリーミングデータのリアルタイムアナリティクスおよび保存)、「Project Fire」(簡単に管理でき、ローカルコンピューティング、ストレージ、IoTアプリなどを扱うハイパーコンバージドプラットフォーム)、「Project IRIS」(「RSA Security Analytics」のセキュリティ機能をネットワークのエッジまで拡張する)、「Project Worldwide Herd」(地理的に分散したデータのアナリティクス)などが含まれる。

 これらの取り組みは、今後IoTやモバイルエッジのためのエッジコンピューティングソリューションを支える技術となるはずだ。Hopkins氏は「モバイルエッジコンピューティングは、広帯域携帯通信ネットワークのさらなる収益化を目指す通信事業者にとって興味深い派生事業だ」と述べている。

4.HPE

 Hewlett Packard Enterprise(HPE)は6月、エッジネットワーク製品に40億ドルの投資(当時のレートで約4400億円)をすると発表した。Hopkins氏は、HPEはエッジサービス、ミニデータセンター、スマートルータを提供しており、エッジコンピューティングに必要なツールを幅広く取りそろえている点で魅力的なベンダーだと述べている。特に、エッジにエンタープライズクラスのITを提供するよう設計されたコンバージドエッジシステムである「Edgeline」シリーズは重要だという。HPEは、エッジにおけるOT(運用技術、ここではデータ収集システムや制御システム、産業用システムなどを対象としたものを指す)システムとITシステムのコンバージェンスによって、運用コストの削減とパフォーマンスの向上を実現することを目指している。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

  3. セキュリティ

    経営陣に伝わりづらい「EDR」の必要性、従来型EDRの運用課題を解決するヒントを解説

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    中小企業のDX奮闘記--都市伝説に騙されずに業務改善を実現したAI活用成功譚

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]