Oracle 最高経営責任者(CEO)のMark Hurd氏
Oracleの最高経営責任者(CEO)であるMark Hurd氏は10月23日、米国サンフランシスコで開催の「Oracle OpenWorld 2018」で基調講演に登壇した。人工知能(AI)をはじめとする自動化技術は人間から仕事を奪うのではなく、むしろ新たな仕事を生み出すと主張した。
「ITに関する仕事の60%はまだ発明されておらず、2025年までに生み出されるだろう」とHurd氏は持論を展開。例えば、同社が推進する自律型データベースによって、データベース管理者(DBA)の役割は大きく変わるが、仕事そのものがなくなるというわけではないという。これまでDBAが行ってきたチューニング、パッチ適用、バックアップ、アップグレードなどの作業をAIや機械学習で自動化することによって業務負担を軽減し、「より高い次元の仕事ができるようになる」とする。
「オートメーション技術によって、サービスのスピードやレベルを高められる。あらゆることをもっと早く実現できるようになる。自動化はかえって仕事を増やすことにもつながる。例えば、誰にでもボスが必要だが、ロボットも例外ではない。つまり、ロボットのパフォーマンスを監督するスーパーバイザーという仕事が必要になる」
OpenWorld 2018では、「パーベイシブAI」というメッセージを打ち出し、ビジネスアプリケーションへのAIの組み込みを強化している。「AIは次世代の重要な要素技術となる。われわれはAIを単体のソリューションと位置付けていない。中核機能としてあらゆるアプリケーションに組み込まれていくものだ。AIには、生産性向上とイノベーション推進という2つのインパクトがある」
例えば、財務アナリストの業務時間の30%は、Excelでのレポート作成に費やされており、これにAIを適用することで、人為的ミスがなくなり作業負荷が軽減される。そして、空いた時間を利用して、より多くの洞察力を発揮することができるという。その他にも、人事採用業務の35%、サプライチェーン管理業務の65%、コールセンター業務の60%が、AIなどの新たな技術の活用によって削減・解消されるとHurd氏は指摘する。
Hurd氏はまた、2025年までに生産性アプリの80%はクラウドに移行する、2つのSaaSスイートプロバイダーが80%の市場シェアを獲得する、企業が保有するデータセンターの80%が削減する、エンタープライズクラウドがITを処理する最も安全な場所になる――、といった3年前に作成した予測を振り返り、クラウド市場は予想を上回るスピードで成長していると語った。
「クラウドは基本的なものになっている点は、もはや疑う余地がない。クラウド化に向けたスピードが大事な時代になってきた」
(取材協力:日本オラクル)