ガートナー ジャパン は、人工知能(AI)の推進に関する提言を発表した。これによると、2018年にアップデートされたハイプ・サイクルにおいて、AIは「過度な期待」のピーク期の中でも、幻滅期の直前に位置付けられた。
ガートナーは、2018年後半からAIの一連のブームは去りつつあり、市場ではAIのとらえ方が冷静になってきている側面が見られるとしている。また、幻滅期とは、「これからが本番」という時期であり、このようにステージが変わるということは、企業がAIをより冷静にとらえ、これまで以上に戦略的に推進する必要が出てきていることを意味しているとした。
同社は、ユーザー企業がAIを推進する際には、「改善レベル」と「戦略レベル」の2つのステージがあるとしている。改善レベルとは、現場の改善を中心としたAIの推進を意味し、戦略レベルとは、企業が中長期の戦略イニシアティブとしてAIを推進することを指す。
経営者が単に、担当者に「AIの導入を検討せよ」という指示だけを出し、また現場もAIの提案依頼をベンダーやシステムインテグレーターに丸投げするといったことが散見されるが、戦略レベルとは企業が自らの戦略的意思を持って、顧客満足度の向上や、競争優位の確立、企業価値の向上などを狙って実行されるものだという。
こうしたことを前提にすると、現場だけの短期的な改善ではなく、中長期の継続的改良を前提とした戦略的なアプローチが求められる。そのためには、ユーザー自身でAIのスキルを身に付けていく必要があり、初心者が一定のスキルを身に付けるためには、相当高いハードルを越えなければならないという。
同社では、今後はユーザー企業であっても、AIを「導入する」ととらえる時代から、自分たちで必要なAIや、AIを組み込んだサービスを作り提供する時代へと変わるとしている。それを支えるのが、例えば、クラウドから提供されるAIプラットフォームで、企業は、こうしたトレンドにさらに注目し、過去の延長に基づく検討すべきだとしている。そして、早期に、AI関連の人材投資を加速し、AIを自分で操るスキルを獲得すべく準備を開始する必要があるとした。