「業務の段取り」のシステム化で、現場力の向上を --日立が考えるIT活用の実践術

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2009-07-06 18:56

現場力を企業力へ結びつけるための「見える化」

 的池氏は「現場」という言葉、概念を重視し、日本の「現場」は、企業にとって常に競争力の源泉であるとする。しかし、いま、「現場」に危機が迫っている懸念を指摘した。これまで、まさに「現場」を支えてきた団塊世代が定年で大量に現役を引退、少子化で労働力人口が減るなど、現場を下支えしていた経験知やノウハウが失われ、現場の力が低下しているのではないかとの不安感が出始めている。「現場力なくして、企業の継続的発展はない」と的池氏は語り、「強い日本を取り戻すため、逆境を乗り切るために、いまこそ『現場力』が重要」と主張する。

 「現場」の実情は実際、どうなっているか。「ベテランや熟練者の知恵や工夫が暗黙知となっており、企業全体に共有、伝承されないと、業務の仕方やコツが現場に定着していかない。また、手順書などによって暗黙知を文書化しても、その手順書自体が、業務環境の変化に追従できずに陳腐化してしまうことがある」(的池氏)

 こういった状況では、個々の力が向上することで組織力を底上げして、強い現場へとつながっていくプロセスにはならない。

 そのため、強い現場にするためのプロセス、いわば、力の好循環を達成するには、「見える化」が必要になる。その実現のための4つのステップを的池氏は提示する。まずは「①段取りの理解」で、現場業務のやり方、業務遂行上での経験知や工夫が何なのか掘り起こし、次に業務の段取りをできる限り見えやすい形に「②見える化」する。さらに、わかりやすくした段取りを「③共有」して、試行錯誤を繰り返しながら「④改善」していく。この4つのステップのサイクルを回していくことで強い現場を作り上げていく。

業務の段取りをITでシステム化するためのツボ

 顧客要望を顧客管理システムへ入力する業務を例に、「見える化プロセス」のサイクルを見ていく。

 人による改善の場合は、仕事のやり方(段取りの理解)を書いた紙をつくり(見える化)職場に貼る(共有)。そこから、職場の関係者から意見を集める(改善)。その改善項目(段取りの理解)を、紙に反映(見える化)して共有していく、といった具合にサイクルをまわしていく。

 このような改善をITの活用により進行させていけば、効率化が期待できる。そこで、的池氏は、「現場のベテランがうまくやっている業務の段取りを、フローとして見える化すれば、自然にノウハウを蓄積できるようになる。」と業務の段取りをシステム化するツボを説明する。

 しかし、実際にシステム化に取り組むとなると、エンドユーザー、システム両部門間における認識のギャップが大きな問題といえる。エンドユーザー部門では、業務に手間がかかることを避けたいと考えているが、システム部門では、システム改変の工数や実装の点を重視してしまうため、システムが必ずしもエンドユーザー業務に十分適合していないことがある。

 これらの課題に対して「ツールを用い、両部門が、業務段取りを見える化するシステムの実イメージを、互いにレビューを繰り返しながら、つくりこんでいくことが有効な対策となる」と的池氏は提示する。

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