電力系通信事業者大手のパワードコムは2005年度、通信回線サービスを中核に据えた法人顧客向けの各種サービスを提供する。現状も、要件定義から設計、構築、保守運用まで一貫したサービスを提供しているが、今後は新規の通信サービスを展開するとともに、より細分化したコンサルティングメニューを用意し、顧客が利用しやすいサービスにする。
パワードコム 専務執行役員 エンタープライズ・セールスカンパニー プレジデントの野呂良材氏 |
2005年度の戦術の大枠として、専務執行役員エンタープライズ・セールスカンパニープレジデントの野呂良材氏は「企業情報通信ネットワークのユーティリティ化」を掲げる。すなわち、料金や性能、品質の透明化を図り、水道や電気、ガスなどのように必要な分だけを簡単に使えるインフラを目指すというわけだ。すでにコモディティと化した純粋な通信回線サービスの利用料金ではなく、通信回線を使いやすくするサービスで付加価値を出す。
2005年度以降の目立った新サービスの概要は以下の通り。通信サービス全体の問い合わせ窓口の機能を提供する「Unify」、アクセス回線を2重化する「Powered Ethernet type D」、信頼性の高い広域イーサネット接続サービス「次世代専用線」などを予定している。いずれも料金体系は未定である。
2005年7月に提供する予定のUnifyは、通信回線にまつわる諸手続きの総合窓口となるアウトソーシングサービスである。企業の情報システム部門はUnifyに対して障害を報告するだけで、Unifyが各通信事業者への対応や請求書発行などの面倒な手続きを代行する。従来も、SIベンダーやシステム受注機能を持つ大手通信事業者が個別案件ベースで提供してきたが、今回メニュー化することで利用しやすくした。
また、2005年8月に提供する予定のPowered Ethernet type Dは、広域イーサネット接続サービスの新メニューであり、通信回線を2重化して可用性を高める。通信機器の故障が原因で起こるネットワークの切断時間を、回線と機器の2重化によって可能な限り短くするのが狙い。99.999%の稼働率(1年間で5分の停止時間)を99.9999%(1年間で30秒の停止時間)に高める。
次世代専用線は、専用線のユーザーが広域イーサネットに移行するためのパスとなる通信回線サービスで、2006年度中に提供を予定している。名称こそ専用線だが、実態は信頼性に留意した広域イーサネット接続サービスである。距離に応じて課金されるという専用線のデメリットを回避しつつ、専用線のメリットである信頼性の高さを保証するという位置付けだ。