メインフレームでSOA--IBMがCICSをWSDL/SOAPから利用可能に

日川佳三

2005-03-25 13:29

 日本IBMは3月25日、同社のメインフレーム上で稼動する既存の業務システムをWebサービス経由で使えるようにするミドルウェア2種を出荷した。TP(トランザクション処理)モニターの新版「CICS Transaction Server for z/OS V3.1」とJavaアプリケーションサーバの新版「IBM WebSphere Application Server for z/OS, V6.0.1」である。

 今回の新版ミドルウェアの位置付けを、ソフトウェア事業WebSphere事業部長の山下晶夫氏は「レガシーシステムを使い続けながらSOA(サービス指向)を実現するもの」と説明。一時は絶滅するかに見えたメインフレームの出荷台数が増加傾向にある状況を「コンピュータのフラッグシップであり、キャパシティ・オンデマンドが価値となっている」と力説した。メインフレームに注力する流れを受け、SOAの中でのメインフレームの位置付けを確固たるものにしたいという思いがある。

日本IBM ソフトウェア事業 WebSphere事業部長の山下晶夫氏

 (1)新版のCICS(Customer Information Control System)は、TPモニターにWebサービス接続用のツールキットを追加したソフトである。COBOLやPL/Iのアプリケーションを使うインターフェースの定義をWebサービスのインターフェース記述言語であるWSDLとして出力するなどの機能を持つ。一方で、(2)新版のWebSphere WASは、J2EEアプリケーションサーバにWebサービスのメッセージを中継するESB(Enterprise Service Bus)機能を追加したものだ。

 上記2製品を使うことで、CICSが提供するWebサービスを、WebSphere WASからWebサービスのメッセージ経由で使えるようになる。もちろん性能や信頼性の上では粒度の荒いWebサービスではなく、既存の独自プロトコルで通信し合う形態を選択できる。J2EEアプリケーションサーバは、J2EE Connector Architecture(J2C、JCA)のアダプタを経由して、CICSやIMSなど各種の既存システムを利用できるようになっている。

 価格は、CICS新版が月額83万6000円から。WebSphereが一括払いで147万2000円から。いずれも実際に使うプロセッサ(CPU)数によって異なる。

 なお、CICSとは別のTPモニターであるIMSをWebサービス経由で使えるようにするソフトの開発途中版「IMS SOAP Gateway Technology Preview」も存在しており、IBMのウェブサイトからダウンロード可能である。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  3. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  4. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  5. セキュリティ

    クラウド資産を守るための最新の施策、クラウドストライクが提示するチェックリスト

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]