Sun Microsystemsが公約通り、Solarisの最新バージョンを無償で公開した。
同社は米国時間1月31日夜、Solaris 10を公開し、登録者が無償でダウンロードできるようにした。Solarisは営利/非営利といった目的の違いにかかわらずだれでも利用することができ、セキュリティ関連の修正もSunが提供する。ただし、バグ修正やサポートが必要な場合はSunとサポート契約を結ぶ必要がある。
Solaris 10は、同社がLinuxやWindowsに対抗し、また競合するUnix勢--IBMのAIXやHewlett-Packard(HP)のHP-UXから首位の座を守るために極めて重大な役割を担うものだ。今回の試みでは、主要技術アップグレード、無償ライセンス、そしてSunによる同ソフトウェアの開発を支援するオープンソースコミュニティ構築活動なども行われる。
Sunは、最大4プロセッサを搭載するサーバに年間契約でサポートを販売するが、この価格は基本サポートがプロセッサあたり年間120ドル、標準サポートが同240ドル、プレミアムサポートが同360ドルとなっている。また、ユーザー全員にセキュリティ修正を自動提供するSun Update Connectionというサービスは2005年中旬に開始される、と同社は述べている。
Sunでは、同ソフトウェアを無償のオープンソースとすることで、新規顧客、ソフトウェア開発者、ビジネスパートナーをSolaris陣営に引き付けられると考えている。Sunは1月、OpenSolarisプロジェクトを通じてソースコードを第2四半期にすべて公開することを明らかにしている。
しかし、Solarisには強敵が待ち受けている。なかでも最大のライバルであるLinuxには、数十社のIT関連企業が支援を行っている。Meta Groupの予測によると、データベース市場におけるLinuxの普及率は、Unixシステムからの乗り換えを中心に、現在の約8〜9%から2007年には25%にまで拡大するという。
今回Solarisでは以下の機能が追加されている。
- 64ビット対応のx86プロセッサをサポート。Red HatやNovellのSuSEから出されているLinuxパッケージは、IntelのXeonやAMDのOpteronなど、64ビット拡張機能に対応するx86プロセッサをサポートしている。これに対し、Windowsによるサポートは2005年前半にずれ込んでおり、またIBMやHPのUnixはこれらのプロセッサ上では動作しない。Sun自体もx86プロセッサのサポートをほとんど取り止めていたが、現在では熱心に支持するようになっている。
- 「Solaris Containers」は、これまで「N1 Grid Containers」と呼ばれていた技術で、1つのオペレーティングシステム(OS)を複数に分割し、各ユーザーがそれぞれ別のマシンを利用しているようにみせるもの。この機能でマルチタスクの処理能力が向上するため、システムをさらに効率的に利用できるようになる。
- 「DTrace」もしくは「Dynamic Tracing」という機能は、技術的な知識のあるユーザーがシステムの稼働状態を監視し、ボトルネックや他の問題を見つけだすためのもの。これはオープンソースソフトとしてこれまでにリリースされていた唯一のコンポーネントだ。
- Zettabyte File System(ZFS) はハードディスク上でのデータの保存方法に新たなレベルの信頼性をもたらすもの。ZFSはまたフォーマットの違いを気にせず使えるため、たとえばx86チップ上で動作するSolarisとUltraSparcで動くSolarisで、同じストレージシステムが利用できる。ZFSは今後のアップデートで登場する。
- Linux Application Environmentは、開発コード名「Janus」と呼ばれていたもので、Red Hat Linux用に書かれたプログラムを、そのまま手を加えずにx86サーバ用Solarisでも利用できるようにするもの。Janusは今後のアップデートで使えるようになるほか、Linuxの他のバージョンにもサポート対象を拡げることになっている。
- Project FireEngineは、性能向上を狙いとしたネットワーク用ソフトウェアの改訂版で、「Slowlaris」の異名をとる同OSの汚名返上に役立つと見られる。
- Process Rights Managementは、攻撃者による脆弱性悪用を難しくするための技術。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。