E・レイモンド、オープンソース・イニシアティブの会長職を辞任

Martin LaMonica (CNET News.com)

2005-02-02 12:10

 Open Source Initiative(OSI)が、オープンソースソフトウェアの振興を支える強固な基盤を確立しようと、組織改革に取り組んでいる。OSIの共同設立者であるEric Raymondも、改革の一環として会長の職を辞した。

 RaymondはOSIメンバーの中でも活発に行動し、また大きな影響力を持つ人物だった。辞任後もOSIと協力し、「親善大使」的な仕事は続けるという。OSIは、オープンソースライセンスを承認する組織。

 Raymondには、「The Cathedral and the Bazaar」(邦題:「伽藍とバザール」)という著書がある。この本は、「だれでも自由に利用できるソフトウェア」という考え方を世に知らしめ、その商業的な可能性について言及した一種のマニフェストであった。

 サンフランシスコを本拠とするOSIが米国時間1月31日に明らかにしたところでは、同団体はオープンソースソフトウェアプロバイダとの連携を拡大し、世界的な展望を確立するための活動に本腰を入れようとしており、その地ならしとして組織改革に着手したのだという。OSIが取り組もうとしている活動には、オープンな標準技術を策定すること、オープンソースの原則を定義すること、またオープンソースソフトウェアプロジェクトの登録制度を作ることなどが含まれる。また理事会は、米国外から数名のメンバーを新たに迎え入れる予定だ。

 Raymondは声明で、「組織の設立者やリーダーにとって最も重要な責務の1つは、引き際をわきまえるということだ」と述べている。

 さらにOSIは、法務スタッフの拡充を図り、現在ゼネラルカウンシルを務めるLarry Rosenの後任にMark Radcliffeを指名する予定だ。また、法務部門のディレクターポジションを新設し、Laura Majerusをこの任に充てた。Rosenは今後も、ライセンス問題に関してOSIに助言するという。

 OSIは、提出されたオープンソースライセンスが一定の基準を満たしている場合、それを承認する団体だ。このとき、企業や組織、開発者などは、自らのライセンスが「OSI認定」であると公言できる。オペレーティングシステムのLinuxからウェブブラウザのFirefoxまで、何千という製品がこのオープンソースライセンスを利用しているのだ。

 だが、オープンソースソフトウェアの人気が高まり、ライセンスの承認数が増えると同時に、法律関連の問題やオープンソースの定義をめぐる混乱も生じるようになった。

 新しく会長に就任したRuss Nelsonは、OSIは組織として目指すべき方向を修正しつつあり、これによって、オープンソースやフリーソフトウェアを取り巻く状況も変化するとした。すなわち、現在こうした開発はプログラマらの自発的な活動によって成り立っているが、今後は大企業や政府がこれを支援するようになるだろうというのだ。

 Nelsonの声明には、「大規模な企業による干渉や、増加し続けるユーザーからの期待など、開発コミュニティには大きなストレスがかかっている。OSIがこうした負担を軽くしてやらねばならない。開発コミュニティは今や、ソフトウェアの生態系のような場となり、本格化・専門化の度合いを強めている。これを助けるべく、われわれは率先して事に当たるつもりだ」とあった。

 OSIの副会長には、LinuxディストリビュータRed Hatのオープンソース問題担当バイスプレジデントMichael Tiemannが就任する。また、Danese Cooperは引き続きセクレタリー兼会計職を務める。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  2. セキュリティ

    サイバー攻撃の“大規模感染”、調査でみえた2024年の脅威動向と課題解決策

  3. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

  4. セキュリティ

    IoTデバイスや重要インフラを標的としたサイバー攻撃が増加、2023年下半期グローバル脅威レポート

  5. セキュリティ

    急増する工場システムへのサイバー攻撃、現場の課題を解消し実効性あるOTセキュリティを実現するには

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]