SAPは米国時間19日、TomorrowNowというソフトウェア企業を買収したことを発表した。TomorrowNowはこれまで、PeopleSoftおよびJ.D. Edwardsの製品に対するサポートサービスを提供してきた。
この動きの背景には、先ごろOracleに買収されたPeopleSoftの顧客を奪取しようという、SAP側の意図がある。
SAPはこの買収について、OracleのPeopleSoft買収に伴って生じた「顧客の不安を取り除く」計画の一端であると説明している。
OracleによるPeopleSoftの買収は18か月に及ぶ激しい戦いの末、今月初めに完了した。ちなみにJ.D. Edwardsは、2003年にPeopleSoftに買収されたソフトウェア企業である。J.D. EdwardsがPeopleSoftに買収されたのは、OracleがPeopleSoft買収を検討し始める直前のことだった。
OracleによるPeopleSoftの買収が決定して以来、PeopleSoftの従業員たちは自分たちが解雇されるのではないかと不安を抱えてきた。そしてその一方で、PeopleSoftの顧客は、果たしてOracleが製品サポートを提供してくれるのだろうかと懸念してきた。
こうした顧客のうち、およそ4000社がPeopleSoftのソフトウェア以外にSAP製品も利用しているという。そのため、TomorrowNowの買収はSAPにとって賢明な判断だったと、アナリストらは述べている。ドイツ企業でありながら米国にも多くの顧客を抱えるSAPはTomorrowNowを買収したことにより、Oracleが新たに獲得した顧客ベースを奪取することが可能になると考えている。OracleではPeopleSoft製品の技術サポートを8年間しか行わない計画だが、TomorrowNowを手に入れたSAPはその後もずっとサポートを提供できる。
「Oracleとの取引を望んでいないPeopleSoft顧客も多い」とEnterprise Applications ConsultingのアナリストJosh Greenbaumは言う。「こうした企業に対し、SAPはとても興味深いオファーをしたといえる」(Greenbaum)
5年前に創業したTomorrowNow(本社:テキサス州)の従業員数はおよそ30人。同社の顧客のなかには、Lockheed Martin、Safeway、Coors Brewing、Circuit City、Petcoなどの大企業も含まれる。TomorrowNowは2人の元PeopleSoft幹部によって立ち上げられた。同社は、自社サービスを利用すれば顧客は厄介なソフトウェアのアップデートに煩わされずに済み、PeopleSoft製アプリケーションの保守/サポート費用を半減できると述べる。
なお、この買収に関する金額面の条件は明らかにされていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。