戦略不在?セキュリティ企業買収を繰り返すマイクロソフト

Joris Evers(CNET News.com) 2005年07月26日 12時10分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 Microsoftが最近行った企業買収からは、同社がセキュリティ分野に力を入れようとしていることが分かる。だが、一部のアナリストは、Microsoftがより明確で生産的な戦略を打ち出す必要があると指摘している。

 Microsoftは3年前、Trustworthy Computing Initiativeを立ち上げた際に、今後はセキュリティを最優先としていくと述べていた。以来同社は、セキュリティを強化するため社内の開発業務を見直し、関連する作業に380億ドルの資金を投入してきた。また、すでによく知られているとおり、Microsoftはこのところ、継続的にウイルス/スパイウェア対策企業やその他のセキュリティ技術の買収を行っている。

 ワシントン州カークランドで活動するDirections on Microsoftの主任アナリストMichael Cherryは、「一連の買収そのものが盛んに取り上げられているが、より重要なのは、そうした買収をどのようにとらえるかということだ。わたしは、これまでの買収で、Microsoftが大きな見返りを得たとは考えていない」と述べた。

 アナリストらはさらに、Microsoftは、手当たり次第に取得してきたテクノロジーを実際の製品に適用し、顧客が利用できるようにしなければならない時期に来ていると話している。

 Microsoftは米国時間20日、メッセージングセキュリティサービスのプロバイダであるFrontBridge Technologiesの買収を発表した。同日にはこのほかにも、MicrosoftがFinjan Softwareに出資し、ウイルスやスパイウェアの振る舞いをもとに、これらを検知する技術に関する特許ライセンスを取得したことが明らかになっている。

 Microsoftはこれらの買収以前にも、2年前にはルーマニアのウイルス対策ソフトウェア開発企業GeCad Softwareを、2004年末にはデスクトップ向けスパイウェア対策企業Giant Softwareを、2005年に入ってからは企業セキュリティソフトウェアベンダーSybariを、それぞれ取得している。Sybariのソフトウェアは、複数のエンジンを利用して、電子メールやインスタントメッセージにウイルス/スパムが含まれていないかスキャンするものだ。

 Spire SecurityのリサーチディレクターPete Lindstromは、一連の買収は無作為なものに見えると発言している。「Microsoftの買収は、反射的な行動であるように思う。顧客にとって重要だと考えるセキュリティ製品を買い漁っているのだ。そこに明確な戦略が存在しているとは考えられない」(Lindstrom)

 一方、Microsoftのセキュリティビジネス&テクノロジー部門ディレクターAmy Robertsは、Microsoftではユーザーに安全なコンピューティングエクスペリエンスを提供しようと全社を挙げて取り組んでおり、同社のすべての製品グループがこれに関わっていると、電子メールの声明に記している。「Microsoftはセキュリティ分野における買収を通して、革新性の向上やユーザーへの情報提供、他社との提携などに対する投資を継続してきている」(Roberts)

 Microsoftは、同社が進める取り組みTrustworthy Computingを通して、初めて自社製品にこうしたセキュリティ指向の設計を取り入れた。買収を繰り返すことで、Microsoftはセキュリティ市場における存在感を示し、個人および企業ユーザーを保護する新たな製品を提供しようとしてきた。同社の最終的な目標は、Microsoftは安全性の低いソフトウェアを提供しているという認識を覆すことであると、Cherryは示唆する。また、「Windowsを選択したユーザーが、安全なシステムを購入したと確信できるようにする」ことだと、同氏は述べる。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
セキュリティ

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化