ERPシステムの最大の問題点は相変わらずユーザー側のソフトウェア適用状況にあることを裏付ける統計調査結果が、米国時間2日に発表された。ERP市場の研究者らによると、ERPアプリケーションのライセンスの半分近くが利用されないままになっているという。
この報告書は、AMR ResearchがERPアプリケーションのライセンスを購入している271社を対象に調査を行い作成したもの。それによると、ERPアプリケーションのライセンスのうち46%が未使用のままだという。ERPアプリケーションは会計、財務、人事といった業務のプロセスを自動化することを目指して開発されたアプリケーションで、OracleやSAPなどのベンダーが提供している。
AMRでは、ここ数年間ERP市場が停滞気味なのは、多くのライセンスが利用されないままであることと関係していると分析している。多くの企業が、2001年から2003年にかけての景気低迷時代には必要ないくらいのライセンスを、(1990年代後半に)購入してしまったと同社は見ている。これらの企業はそれまで、新しい技術に投資するよりも、構築済みのシステムを活用しようと考え、既存のシステムに必要以上の投資を行っていたとAMRは述べた。
その後、景気が減退したことを受けて、企業はERPシステムの拡張計画を延期した。そのため、多くのライセンスが未使用のままになったとAMRのアナリストJim Shepardはいう。また最悪のケースでは、企業が人員を削減した結果、ライセンス数が従業員数を上回ることになってしまったとも述べている。
「予想以上に多くのライセンスが未使用のままになっている」とShephardは述べる。「今回の調査結果から、1990年代後半に企業がいかに大規模な投資を行っていたか、そして、その後の景気後退の間にどれだけ多くのプロジェクトが中止されたかが分かる」(Shephard)
ソフトウェアベンダー各社はこれまで、システム導入時に少しでも多くのライセンスを顧客に買ってもらおうと、ライセンス料金にボリュームディスカウントを適用してきた。しかし、こうして購入されたライセンスの多くが未使用のままであることから、ソフトウェアベンダー各社は、この戦略を変更せざるを得なくなるだろうと、AMRは述べる。ベンダー各社がボリュームディスカウント戦略から脱却すれば、未使用ライセンスの分まで保守費用を支払わなければならない、という企業顧客の不満を鎮めることもできるという。
「ベンダー各社は、これまで顧客に多くの選択肢を提供してこなかった。しかし、今は企業が何に対しても先行投資する時代ではない。企業は少しずつしかライセンスを購入しなくなっている。それでも、いったん自社から製品を購入した顧客は、その後も継続して自社からライセンスを購入してくれる。ベンダーにとってその点は悪くないだろう。だが、企業はいますぐに利用できるものしか購入しない傾向にあり、取引の規模は大きく縮小していることは事実だ」(Shephard)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ