Intelが、来年に発売を予定していた同社初のサーバ用デュアルコアプロセッサを、今年中にリリースすることになった。同社はまた、競争の激しい重要分野でライバルのAdvanced Micro Devices(AMD)に追いつくために異例の作戦を展開していく計画だ。
同社の「Paxville」(開発コード名)は、4つ以上のプロセッサソケットを装備するマシン向けに設計されたXeonの1モデルで、今回出荷予定が2005年に変更された。Intelはまた、ローエンドのデュアルプロセッササーバ向けバージョンのPaxvilleもリリースする予定だが、これはいままでなかった動きだ。
Paxvilleは「コア」と呼ばれる処理エンジンを2つ搭載するため、これまで2基のチップが必要だった作業の大半を1基のチップで処理できるようになる。AMDは、4プロセッサや、普及価格帯の2プロセッササーバ用モデルなど、同社初のデュアルコアOpteronプロセッサを今年前半にリリースしている。なお、デスクトップ用デュアルコアプロセッサについては、両社ともすでに販売している。
IntelのPaxvilleは、「商品化までの時間を確実に短縮するだろう。少なくとも、OpteronによってAMDが成功しているとの認識に対処できる」と、TechKnowledge StrategiesアナリストのMike Feibusは述べている。「このチップがIntelの売上全体に大きな影響を与えるとは思わない。むしろ、勢いを示すことが目的だろう」(Feibus)
Paxvilleは当初、2006年上半期にリリースされる予定だった。ところが、3月にIntelの幹部が、同社では2006年のかなり早い時期に同チップのリリースを見込んでいることを明らかにした。また、同社CEOのPaul Otelliniも、デュアルコアの出荷前倒しを7月に示唆していた。ただし、Intelの広報担当Erica Fieldsは、Paxvilleのリリース時期が「大幅に早まる」と述べただけで、具体的にどれだけ早まる見込みかについてはコメントしなかった。
Dellは、Paxvilleチップを搭載したデュアル/4プロセッササーバを今年中に発売する予定だと、同社広報担当のDavid Lordは米国時間15日に明らかにした。また、Dellと異なり、サーバにAMDとIntelの両方のプロセッサを採用するHewlett-Packard(HP)も、2005年末までにデュアルおよび4プロセッサマシンを投入する計画だと、同社広報担当のEric Kruegerは語った。
一方、ハイエンドのIAサーバで競合各社と一線を画そうとしているIBMは、ハイエンドのXeonsを搭載した次世代サーバの発売を強く望んでいる。IBMのJay Bretzmann(ハイパフォーマンスIntelサーバ事業部ディレクター)は、「IBMは、Intelの第1世代64ビットXeon MPデュアルコアプロセッサの登場を心待ちにしている」とする声明を発表している。
Intelは、デュアルプロセッササーバ向けの主力チップとして「Dempsey」(開発コード名)を2006年に投入する計画だが、PaxvilleがこのDempseyにとって代わることはなさそうだ。
Dempseyは、デュアルコアのPaxvilleチップに比べて製造コストが低いとIntelのFieldsは説明したが、ただし同氏は具体的な金額を示さなかった。デュアルコアのPaxvilleチップは2.8GHzで動作し、2Mバイトの高速キャッシュと800MHzのフロントサイドバス(FSB)を搭載する。さらに同チップにはハイパースレッディング機能も搭載され、各タスクの処理の高速化が図られると、Fieldsは述べている。
このDempseyと「Blackford」(開発コード名)という新たなチップセットを組み合わせたものが「Bensley」というプラットフォームになる予定だが、同プラットフォームには「FB-DIMM」というより高速な新メモリ技術が含まれるほか、バススピードやプロセッサ全体の処理速度も高速化も図られることになっている。
Feibusによると、デュアルコアのPaxvilleチップに比べ、「Dempseyの設計はさらに洗練されている」という。
Intelは現在、あわせて17種類のマルチコアプロセッサを開発している。同社は、2006年末までに、同社のサーバ用プロセッサの85%以上がマルチコアプロセッサになると予想している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ