2002年12月、米国カリフォルニア州マウンテンビューにて創業したBarracuda Networks。ベンチャーキャピタルからの投資を受けず、創業者3名の資金によって立ち上げたスパム対策ファイアウォール製品を提供する企業だ。すでに全世界にて2万5000社に対し3万台以上のアプライアンスを出荷しており、過去2年間黒字が続いている。
同社は米国以外にも、カナダ、英国、オーストラリア、インド、中国、パキスタンなどにオフィスを構えているが、2005年6月ようやく日本にもオフィスを開設した。現在エンジニアを含め、4名のスタッフで国内オフィスを営んでいる。
オフィスを開設する以前にも同社は、代理店を通じて2004年7月よりスパム対策ファイアウォールを国内にて販売している。現在一次代理店となっているのは、マクニカネットワークス、丸紅ソリューション、兼松で、二次代理店としてNECネクサソリューションズ、富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ、ネットマークス、ソフトバンクBBなどが名を連ねている。
- Barracuda NetworksのCEO、Dean Drako氏
日本で販売を開始して約1年が過ぎた現時点での出荷台数はまだ300台強だが、「国内オフィスの拡張で営業を強化し、販売台数を伸ばしたい」と来日中の同社取締役社長兼CEO、Dean Drako氏は語った。現時点での国内の顧客には、UFJ総合研究所、小田急ケーブルビジョン、テクマトリックスといった企業をはじめ、東洋大学、昭和女子大学などの教育機関でも多く採用されている。
同社が現在提供している製品は「バラクーダ・スパムファイアウォール」と、米国で2005年4月に発表し、12月に国内にて販売を開始した「バラクーダ・スパイウェアファイアウォール」だ。スパムファイアウォールの価格は、500ユーザー、50ドメインの場合で60万円(初年度、次年度以降は定義ファイル更新費用などで年間18万円が必要)、スパイウェアファイアウォールの価格は、同時アクセス150ユーザーの場合で92万4000円(初年度、次年度以降は同じく30万8000円が必要)となっている。
Drako氏は、スパム対策製品の競合として、同社と同じくハードウェアソリューションを提供するProofpointやMailFrontier、ソフトウェアソリューションを提供するTrend Microなどを挙げているが、バラクーダ製品の優位性について「ネットワークのゲートウェイにてスパムを防御するため、各PCにソフトウェアをインストールする必要がない。また、われわれのデータベースとアルゴリズムは非常に優れている。すでに導入された製品にて1日約3億通ものメールをフィルターし、このデータを元に毎時間データベースを更新することで常に精度を高めている」と説明する。
Drako氏はさらに、同社のスパム対策製品が他社製品より安価で提供できることもアピールした。「米国の専門媒体Network Computingによる調査で、我々の製品と、Borderware、Brightmail、Trend Micro、Proofpointの製品を比較しているが、バラクーダ製品の性能が高く評価されたことはもちろん、1000ユーザー規模の企業では1ユーザーあたりのコストが90セントで、Proofpointの21ドル、Brightmailの21ドル82セント、Borderwareの26ドル55セント、Trend Microの34ドル13セントより大幅に安価だと評価された」(Drako氏)
一方、スパイウェアファイアウォールについては、「単にスパイウェアを検知するだけのものではない」とDrako氏。同製品は、ゲートウェイでスパイウェアをブロックすることはもちろん、外部から持ち込まれたノートPCがすでにスパイウェアに感染していた場合、そのPCがインターネットにアクセスできないようゲートウェイでブロックし、管理者にどのPCが感染しているかアラートを送るようになっている。将来的には、スパイウェアの自動除去ツールも提供される予定だ。
2006年には、インスタントメッセージに向けたスパム対策製品も発表するとしているバラクーダ。「出荷台数3万台という数字は、世界で一番多く採用されているスパム対策アプライアンスであることを意味する」とDrako氏は言うが、フリーのソフトウェアをはじめ、多くのスパム対策製品が登場する中、日本でどこまでシェアを獲得することができるか、今後の行方を見守りたい。