情報通信研究機構(NICT、長尾真理事長)は、パナソニックモバイルコミュニケーションズ(櫛木好明社長)と協力し、UHF(950MHz)帯パッシブ電子タグシステムに対応する「高出力タイプ装置」「低出力ハンディタイプ装置」のRFIDリーダー2機種の開発に成功したと発表した。
UHF帯パッシブ電子タグは、従来の電子タグシステムに比べ、10m程度の通信距離延長ができることから注目を集めている。しかし、第二世代携帯電話やPHSなどの通信および放送システムに影響を及ぼさないよう、使用電波スペクトルの制限が厳しく規定されており、既存のRFIDリーダー装置の改造による対応は困難だった。
今回NICTでは、スペクトル制限規定に対応する専用フィルタと、周波数共用化技術の1つであるキャリアセンス機能を受信回路と同一の回路で行う2つの方法を組み合わせ、電波法に適合するRFIDリーダーの開発に成功した。
ベースバンド信号処理部にはFPGAを使用。ソフトの変更でさまざまな通信に対応可能な「ソフトウェア無線技術」を採用し、各種電子タグ通信プロトコル変更にも対応できるようにした。
今後は、実際の使用環境下で開発したリーダを使って、特性評価を重ねると同時に電子タグ識別率に影響を及ぼす電波干渉問題の回避技術研究を続ける。NICTでは開発したソフトウェア無線機などにも応用し、携帯電話や無線LANと同一プラットフォーム上で動作させることも視野に入れている。