第21回 米国流EAアセスメントに見るEAの利用

相原慎哉(みずほ情報総研) 2006年02月24日 11時54分

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●公表されたEAアセスメントフレームワーク2.0
2005年12月、米国行政管理予算局(OMB)はEAアセスメントフレームワークの新バージョンである2.0版を公表した。これは米国政府の各機関でEAがどの程度実現しているかを評価するためのツールである。その中身をやや詳しく見ていくことで、米国政府が「EAの利用」をどのように捉えているのかを考えてみたい。

●評価の対象となる3つの領域
EAアセスメントフレームワーク2.0では、評価の対象となる領域を大きく3つに分割している。一つ目は「完成能力」領域、二つ目は「利用能力」領域、最後が「結果能力」領域である。大まかに言えば、これらはそれぞれ「EAを構築すること」「EAを実践すること」「EAの成果を挙げること」に対応している。

「完成能力」領域では、5層のアーキテクチャ(パフォーマンス、ビジネス、データ、サービスコンポーネント、テクノロジー)と、移行戦略の6項目を対象としている。ここでは、各アーキテクチャがきちんとドキュメント化されているか、現状アーキテクチャから目標アーキテクチャへの移行戦略が立案・実施されているかといった点が評価される。多くの人にとって、EAの活動として一番馴染み深いのはこの領域であろう。

「利用能力」領域では、EAガバナンスと管理、EAの変更と構成管理、全体と部分のアーキテクチャの連携(連邦化)、EAの組織内展開、投資計画とコントロール(CPIC)の5項目を対象としている。ここでは、EA自体の継続的な管理と、EAを組織の戦略や投資と連携させる仕組みの実現度合いが評価される。ドキュメントや計画を作った後の、EAの活用とガバナンスに関わる領域である。この領域が不十分だと、「作っただけで終わり」ということになりやすいと考えられる。

「結果能力」領域では、ビジネスの主導、連携と再利用、ビジネスプロセスとサービスの改善、IT実装の改善、組織横断的な政策(電子政府、ソフトウェア調達管理など)との整合性確保と実施、OMBが推進する特定政策との整合性確保(IPv6計画)の6項目を対象としている。ここでは、EAが他のプロジェクトと連携して進められているか、組織の目的・業務に役立つ成果を生み出す体制が出来ているかが評価される。この領域が不十分だと、EAによって達成すべき目標が曖昧になり、成果が上がりにくいことになると考えられる。なお、特定政策に関わる項目は、状況の変化に応じて、適宜変更されると予想される。

●米国政府の目指す方向性
以前のバージョンである1.5版では、このうち「完成能力」領域に焦点が当てられていた。 2.0版ではこれに「利用能力」「結果能力」が加わったのが大きな変化である。3倍とはいわないまでも、対象となる領域が大きく広がったことになる。

特に注目すべきなのは「結果能力」の一連の項目である。ここではEAの「質」が問われている。モデルを書くだけでも「完成能力」の領域では高得点を取ることは可能である。しかし、それが組織の上位目標と合致していなければ「結果能力」の点は低くなる。また、業務のニーズを反映する仕組みが無く、EAが現場と乖離してしまえば、やはり「結果能力」の点は低くなってしまう。

現在のところ、EAの質をどのように確保するのかについて、確たる方法論が確立しているとは言いがたい。EAアセスメントフレームワーク2.0は、形式的な導入に終わらせず、本当にEAを利用していくためには何を考えるべきなのか、一つの参考になるのではないだろうか。

(システムコンサルティング部 相原 慎哉)

※本稿は、みずほ情報総研が2006年2月9日に発表したものです。

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