サンフランシスコ発--Intelは米国時間7日、サーバ用の「Clovertown」とPC用の「Kentsfield」という2種類の4コアプロセッサのデモを行い、問題の多い現在の状況から未来へと参加者の目を向けさせた。
IntelのPat Gelsinger(デジタル・エンタープライズグループ、シニアバイスプレジデント)は、同社が当地で開催中の「Intel Developer Forum」で行った講演のなかで、この2つのプロセッサのデモを行った。両チップとも65ナノメートルプロセスで製造され、2007年第1四半期に出荷されると、同社の関係者は説明した。
Intelはここしばらく、競合するAdvanced Micro Devices(AMD)に市場シェアを奪われてきているが、今回のIDFはそうしたなかで開催された。
デュアルコアを搭載する主流向けのx86チップは、2005年に市場に投入されて以来、普及が進んでいる。4コアモデルはその次のステップとなり、チップの高速化ではなく、コア数の増加に力を入れて処理性能の向上を狙うIntelの姿勢を一段と明確にするものといえる。
しかし、ある要因が影響し、4コアプロセッサの普及速度が遅くなる可能性もある。サーバ用ソフトウェアには、タスクを複数のスレッドに分割してマルチコアプロセッサを活用するものも多いが、PC用のソフトウェアはこのようなアプローチとさほど相性が良くない。
調査会社Endpoint Technologies Associates社長のRoger Kayによると、「デュアルコアは現状でも意味があるが、これはほとんどの場合、何か作業をしているときにバックグラウンドで動作するタスクがあるためだ」という。しかし同氏は、4コアPCはデジタルレンダリングやCADなど高負荷の計算作業を行うパワーユーザーしか当初は関心を示さない「ニッチ」になると述べている。
より高い関心を集めそうなのは、今年後半に出荷が予定されるデスクトップPC用デュアルコアプロセッサ「Conroe」のほうだ。GelsingerはConroeについて、現行のPentiumチップと比較して「消費電力が40%少なく、性能は40%高い」と説明した。
しかし、Intelがどのようなアプローチによって4コアを実現するのかは明らかではない。AMDでは、4つのプロセッサコアすべてを1枚のシリコンに集積している。しかし、2つの独立したコアを1つのパッケージに収めてプロセッサソケットに装着するなど、Intelのアプローチはこれまで洗練度で劣ってきた。なお、IBMのサーバ用チップ「Power5+」ではこの方法ですでにQuad-Core Moduleオプションを用意している。
Dempseyと低消費電力版Xeon
Gelsingerはまた、Clovertownより先に登場予定の2種類のサーバ用プロセッサも披露した。これらはいずれもClovertownと同じ「Bensley」プラットフォームを利用するもので、1つめの「Dempsey」はすで製造が開始されており、今月中に出荷されるとGelsingerは説明した。また、IntelのKirk Skaugen(サーバ・プラットフォーム・グループ、ゼネラルマネジャー)によると、もうひとつの「Woodcrest」は新しい設計を採用し、第3四半期の出荷が予定されているという。
Skaugenはインタビューのなかで、Woodcrestは第4四半期に出荷の予定だったが、スケジュールを1四半期前倒しすることができた述べた。同氏はさらに、このプロセッサは3GHzで動作するほか、DempseyはIntelが期待していた上限の最高3.73GHzで動作する、と付け加えた。両チップの動作速度と、Dempseyの667MHzメモリやWoodcrestの1333MHzメモリ、そして仮想化技術の予定より早い実現を合わせて考えると、Intelのエンジニアが適切に作業を進めていることがわかる。
「このことは、エンジニアリングに関する実際の作業がうまく進んでいることを示す証拠にすぎない」 (Skaugen)。同氏によれば、AMDもシェアを伸ばしてきたが、Intelの技術は再び上に立つという。「絶対的な性能でも、消費電力あたりの性能でも、われわれがリードしている。それこそ人々が気にかけていることだ。Woodcrestの時代になれば、議論の余地はなくなるだろう」(Skaugen)
WoodcrestはDempseyの直後に登場するが、Intelはこれを後継製品とは考えていない。同社はむしろ両方を併売する可能性が高く、Dempseyはコスト重視の小規模企業向け、Woodcrestは消費電力あたりのパフォーマンスを重視する大企業向けになると、Skaugenは説明した。