Symantec VISION開幕--「プロテクション」を強調するトンプソンCEO

藤本京子(編集部)

2006-05-09 06:52

 Symantec主催のイベント「Symantec VISION 2006」が5月8日、米国サンフランシスコにて開幕した。このイベントは、Symantecに統合される以前よりVeritas Softwareが「Veritas VISION」として開催していたもので、今回が9回目となる。

Thompson氏 「インフラ、情報、インタラクションにおけるプロテクションが重要」と話すSymantecのThompson氏

 今回のSymantec VISIONのテーマは、「プロテクション」(保護)だ。基調講演に立ったSymantecの会長兼CEO、John Thompson氏は、「インフラストラクチャ、インフォメーション、インタラクションのそれぞれの分野でプロテクションが必要となる。そのためにSymantecは、信頼できるIT環境を作りあげるソリューションを提供する」と述べた。

 Thompson氏はまずインフラストラクチャについて、「現在のデータセンターは複雑化しており、効率が悪くなる一方だ」と話す。同氏は、CIO Insight Magazineの調査を引き合いに出し、「本来イノベーションのために使われるべき企業のIT予算のうち、実際にイノベーションに使われているのはほんの5%という結果が出ている。これは複雑なインフラストラクチャが原因だ」と指摘した。

 「このようなインフラの状況を解決するために、プロテクションが必要となる」とThompson氏。可用性の高いシステムやアプリケーションは、プロテクションありきで実現するのだと同氏は言う。またThompson氏は、生産性を向上させるためにはシステムの標準化が必要で、システムの最適化には管理の自動化が必要なことを述べた。

 こうしたインフラストラクチャを実現するためにSymantecでは、「Symantec Data Center Foundation」を発表する予定だ。このソリューションには、同社の提供する「Storage Foundation」や「CommandCentral Storage」、「NetBackup」、「i3」などが含まれる。

 Thompson氏はSymantec Data Center Foundationについて、「サービスレベルが向上する。ベンダー独自のシステムにロックインされ、それぞれの管理方法に従っていたものを、シンプルで繰り返し使えるプロセスにて実現できるようになる」と述べた。この戦略の詳細は9日の講演にて発表される。

 次にThompson氏はインフォメーションの保護について、「特に今年はメッセージ管理とITポリシーのコンプライアンスにフォーカスしたい」と述べた。メールやインスタントメッセージなどがビジネスにおいてミッションクリティカルな位置づけとなっていること、またさまざまな法令に準拠するためにITが重要な役割を果たすためだ。

 Thompson氏は、メッセージ管理を効率的に実施するにあたっては「すべてのレイヤーでリアルタイムな保護が必要となる。スパムや悪意のある攻撃から身を守ることはもちろん、機密性の高い情報を外部に漏らさないためのネットワークの仕組みも重要だ」とした。そのためにSymantecでは、データベースのトランザクションをリアルタイムで監視するソリューションを提供している。

 またThomson氏は、コンプライアンス対応のために企業がメールを何年も保管する必要に迫られていることに触れ、Symantecが「Enterprise Vault」というコンテンツアーカイブソリューションを用意していると述べた。「セキュリティソフトウェアをインストールし、アップデートするだけでは今のIT管理は十分でない。ITコンプライアンスを基にして、内部のポリシーが法令に準拠するような仕組みを構築しなくてはならない」(Thompson氏)

 最後にThompson氏は、インタラクションを保護することの重要性について話した。同氏は、「オンラインでの取引が増加するにつれ、セキュリティを気にするユーザーが増えている。Conference Boardの調査によると、41%のユーザーがセキュリティの不安からオンラインでの購買が減ったと答えている。オンラインでのインタラクションを保護しなければ、Eビジネスの発展を妨げることになりかねない」と警告した。

 Thompson氏は、オンラインではリアルな店舗でユーザーが感じ取ることのできる感覚、つまり「第六感」がうまく働かないのだと指摘する。リアル店舗では、危ない店は概観や店舗の中に入った雰囲気などでわかるが、オンラインではどの店が危ないのか勘がつかめない。それを解決するために「オンラインでのアイデンティティを確立する方法を提供したい」とThomson氏は述べた。

 質疑応答セッションでは、このところセキュリティ機能の強化に注力するMicrosoftに対し、どのような戦略で戦うのかという質問が出た。Thompson氏は、「イノベーションを続け、セキュリティ市場でのブランド力をさらに強め、市場での勢力と販売力を強化することが戦略の中心となる」と述べた。

 「Symantecは世界のどの企業よりも多くのユーザーをセキュリティの脅威から守ってきた実績がある。Microsoftはユーザーに対し、セキュリティの重要性を訴えかけていくだろう。これはわれわれのようなセキュリティ企業にとって追い風となる。Microsoftは他の分野でブランド力があるかもしれないが、セキュリティ分野ではSymantecのブランド力が強い。今後もブランド力を強化しつつ、最新のセキュリティ製品と正しいメッセージを出すことでこの市場での存在力を高めたい」(Thompson氏)

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