Symantecは5月9日、米国サンフランシスコにて開催中の「Symantec VISION 2006」にて、データセンターの統合ソリューション「Symantec Data Center Foundation」を発表した。これは、マルチシステム環境下のアプリケーションやデータベース、サーバ、ストレージを、一貫したソフトウェアのインフラストラクチャによって標準化するというものだ。
Symantecのデータセンター管理部門シニアバイスプレジデントを務めるKris Hagerman氏は、「データセンター内では通常複数ベンダーの製品が使われており、アプリケーションの種類が1万に上ることもある。このようにデータセンターが複雑になっているにもかかわらず、管理のための予算は変わっていない。Symantec Data Center Foundationは、複雑化したデータセンターの管理を効率的かつ効果的に実施するためのものだ」と説明した。
Symantec Data Center Foundationでは、データの保護や管理が可能な「Veritas NetBackup」、ストレージ管理製品群の「Veritas Storage Foundation」、サーバ管理やアプリケーションの可用性を監視する「Veritas Server Foundation」、アプリケーション環境を最適化するソリューション「Symantec i3」が統合されている。
Veritas Server Foundationは、Symantec Data Center Foundationと同時に発表された新たな製品群だ。これは、サーバおよびアプリケーションのプロビジョニングやパッチ配布などの作業を自動化する「Veritas Provisioning Manager」(旧称OpForce)と、Symantecが2月に買収したRelicoreの設定管理製品「Veritas Configuration Manager」(旧称Relicore Clarity)から構成されている。
また、Veritas Storage Foundationのバージョンアップも同時に発表された。新バージョン5.0は、複数のOSへの対応が同時に発表されたが、Windowsに関してはVistaのリリース後に対応することになる。OSはもちろん、さまざまなハードウェアプラットフォームもサポートするため、データセンター全体のアプリケーションやリソースの可視化が実現するほか、ストレージ環境における事前予防型の管理が可能となる。Hagerman氏は、「他社製品の場合、ひとつのOSやハードウェアに対してさえこうした機能をサポートできていない。これほど幅広い環境下でリソースの可視化やストレージの事前予防型管理が可能なのはStorage Foundation以外にはない」とアピールした。
さらにSymantecは、Veritas Storage Foudationにおいてライセンス料が発生しない「Veritas Storage Foundation Basic」も発表した。ひとつの物理システムの構成が4ボリューム、4ファイルシステム、2プロセッサ以内であれば、無償でStorage Foundationの機能が利用できる。ただし、サポートが必要な場合は1CPUにつき98ドルが必要だ。日本国内においては無償バージョンのサポートは提供していない。
こうした無償バージョンを提供することで、Symantecは顧客層を拡大したい考えだ。Hagerman氏は、「Storage Foundationは従来ハイエンド向けの製品だ。だが、あまり多くのサーバを抱えていなくともこうした管理機能が必要だと考える顧客は多い。これまでローエンドのユーザーは、Storage Foundationが高価で手を出せなかったが、Basicを無償提供することでそのバリアを取り払いたい。BasicがSymantecの製品を使うきっかけとなるだろう」と述べた。
Symantecは、サーバやストレージを追加しようと考える顧客を中心にData Center Foundationを販売したい考えだ。最新の製品を含む完全な製品の出荷予定は、2006年第2四半期から第3四半期を予定している。なお、日本国内では、Symantec Data Center Foundationに含まれるVeritas NetBackup PureDiskやVeritas Provisioning Manager 4.1などの提供は未定で、製品群の詳細については後日発表される。