Novellが、自社のオープンソースソフトウェアを企業ユーザーにより適したものにするため、2種の主要製品のリリース準備を進めている。
Novellの最高技術責任者(CTO)であるJeff Jaffe氏はCNET News.comに対し、同社が2006年初頭から密かに取り組んできたオープンソースID管理プロジェクト「Bandit」を、5月後半に公式発表すると語った。
また7月には、同社のLinuxデスクトップスイートのメジャーアップグレードを行い、「SUSE Linux Enterprise Desktop 10」の提供を開始する予定だという。
NovellのLinuxサーバオペレーティングシステムの強化も含めたこの取り組みには、同社のオープンソース関連の売り上げを伸ばし、Microsoftに代わる地位を確立するという目的がある。
もっとも、Novellはあらゆる分野においてMicrosoftの立場を奪おうと考えているわけではなく、かなりの数に上る企業ユーザーを獲得できると見込んだ分野を対象にしていくつもりだと、Jaffe氏は述べた。
「オープンソースに対する熱狂的な支持が存在しているのは確かだが、(企業の)ユーザーニーズを満たすものでなければ、競争には勝ち残れない」(Jaffe氏)
「われわれはオープンソースを信奉してきたが、自分に都合のよい状況を想定するのではなく、ありのままの現実を見つめて、信奉に固執するのはやめようと考えている」(Jaffe氏)
Novellは、2003年にオープンソース企業Ximianを、2004年にLinuxディストリビューターのSuSEを買収し、それ以来Linuxおよびオープンソース技術を推進するようになった。
同社では、特にNetWareユーザーおよびパートナーをはじめとする顧客にLinuxやオープンソースソフトウェアの製品計画を明示して、注意を喚起するという戦略を採用している。Jaffe氏によると、例えばOpen Enterprise Serverの次期版は、「Xen」仮想化ソフトウェアを利用してLinuxとNetWareを同時に稼働させられるようになるという。
しかし金融アナリストらは、NovellはLinuxの売り上げ増大をまずは優先させるべきだとして、同社を批判している。
IlluminataのアナリストJonathan Eunice氏は、「Novellは鉄壁の防御態勢を固めているが、(そうすることで同社のビジネスの)成長を鈍化させることなく、魅力的で活気にあふれたエコシステムを構築できるかどうかははなはだ疑問だ。同社はビジネスモデルを変革しているところであり、今はまだ暗闇の中での手探りが続いている」と分析した。
Novellは、ディレクトリ製品やネットワークアクセス認証に用いるサーバソフトウェアを提供することで、ID管理市場における相応の影響力をすでに確立している。今回は、Banditプロジェクトがオープンソースソフトウェアの成熟につながることを、同社は望んでいる。