シスコシステムズは5月30日、カブドットコム証券が福岡拠点のシステムセンターにおける遠隔地/災害復旧サイトに「Cisco MDS 9000 シリーズ」のマルチレイヤディレクタおよびファブリックスイッチを採用したことを発表した。2006年4月より構築を開始している。
カブドットコム証券は、大規模システム障害を想定した情報システムリスクへの対策として福岡システムセンターを構築中。今後3年間で、災害時に本社機能を完全に代替できる体制を構築することを目標に、勘定系データベースシステムの災害復旧サイトを2006年4月末までに整備し、9月末までにあらゆる災害復旧対策を完了する予定だ。
採用の前提となったのは、約1000キロメートル離れた東京と福岡を結ぶ災害対策システムセンター構築の要件として、実際に災害が発生してからデータ復旧し、システムが再稼動するまでの時間だ。
「災害発生時点からどこまで遡ってデータを復旧できるか」の指標としてRPO(Recovery Point Objective)を、「災害発生からどれだけの時間でシステムを稼働できるか」の指標としてRTO(Recovery Time Objective)を用い、RPO5分以内、RTO30分以内を目標とした。
ストレージのバックアップやミラーリングにはファイバーチャネルによるWAN構築が不可欠とされてきたが、1000キロメートルの距離をファイバーチャネルで接続することは現実的ではない。そこで今回はファイバーチャンネルの通信を汎用的なIPネットワークでトンネルさせる技術であるFCIPを採用し、コストを抑えてシステムを構築した。
また、カブドットコム証券では、複数ベンダーのSAN環境を同時にバックアップしたいという要件があった。一般的には、ベンダーごとにSANを構築する必要があるのだが、それではコスト負担が増す。そこで、シスコの提唱するVSAN(バーチャルSAN)技術を採用。1つのストレージネットワークの中に、複数のSANを共有させることを可能にしている。