インテルは6月26日、サーバ向けの新型プロセッサ「デュアルコア インテル Xeon プロセッサー 5100番台」を発表した。このプロセッサは、開発コード名「Woodcrest」と呼ばれていたものだ。
5100番台は、消費電力の効率化を実現する「インテルCoreマイクロアーキテクチャ」を採用した最初のプロセッサとなる。これにより、前世代のサーバプロセッサより最大130%性能が向上し、40%消費電力が削減できる。Coreマイクロアーキテクチャは、「Core 2 Duo」というブランド名で今後製品化が予定されているノートブック製品やデスクトップ製品にも採用される。
Intel デジタルエンタープライズ事業本部 副社長 兼 サーバープラットフォーム事業部長 Kirk Skaugen氏は、「企業が抱えるITの課題のひとつに、システムの総所有コスト(TCO)が増加していることがある。そのTCOの中でも電力コストは2番目に大きい」と述べ、消費電力の削減が重要な意味を持つとした。
5100番台の最大動作速度は3GHzで、システムバスは1333MHz、両コアからアクセス可能な共有型2Lキャッシュは4MB。今回出荷される製品のうち、動作周波数3GHzの5160番は熱設計電力(TDP)が80ワットだが、5150番(周波数2.66GHz)、5140番(同2.33GHz)、5130番(同2.0GHz)、5120番(同1.86GHz)、5110番(同1.60GHz)はTDPが65ワットとなっている。第3四半期には、周波数2.33GHzでTDP40ワットの低電圧版が出荷される予定だ。
Skaugen氏は、「Specint_rate_base2000」のパフォーマンス測定結果から、「競合製品であるAMDのOpteron 285と、今回発表した5160番を比較した場合、消費電力あたりのパフォーマンスが5160番のほうが84%高かった」としている。
一方、日本AMDのアジアパシフィック カスタマーサポートサービス本部 技術部 ファームウェアエキスパートの堀江昌司氏は、「インテルの新製品は低消費電力を売りにしているが、消費電力はCPUのみで決まるわけではない」と話す。インテルの5100番台の場合、CPUの消費電力はAMDのOpteronプロセッサの95ワットよりも低いが、「メモリコントローラを内蔵しているOpteronと違い、インテル製品はメモリコントローラが外付けで、そこでも電力が発生する。また、インテルはメモリに消費電力の高いFB-DIMMを採用しており、(夏以降に発表が予定されている)次世代Opteronで採用予定のDDR2の2倍以上の消費電力を必要とする」と堀江氏。これらをトータルして比較すると、Opteronの方が消費電力が低いという考えだ。
5100番台は、サーバ用プラットフォームの「Bensley」に対応する。Bensley対応のプロセッサとしては、5月に発表した5000番台プロセッサ(開発コード名「Dempsey」)に次ぐものだ。Bensleyは、2007年第1四半期にリリースが予定されているサーバおよびワークステーション用プロセッサ「Clovertown」(開発コード名)ファミリーをはじめ、45ナノメートルプロセスで製造されるデュアルコアやクアッドコア製品など、2009年までの製品に対応する予定だ。Skaugen氏は、「長期にわたってプラットフォームの互換性を提供することで、ライフサイクルの長いエンタープライズ市場におけるプラットフォームの安定性をサポートできる」とした。