なぜビジネスで注目されるのか?
長い前置きでしたが、いよいよ本題です。ブログとSNSがビジネスで注目される理由とは何でしょうか? 各社の思惑は様々ですが、ここでは大きな理由を3つ取り上げたいと思います。
1. CMSとしての利用
CMSは「コンテンツマネジメントシステム」(Contents Management System)の略で、ウェブサイトのコンテンツ管理を支援するシステムのことを指します。ブログはHTMLやCSSといったプログラミング言語の知識がなくても、テキストを入力するだけで簡単にウェブページを作ることができるので、CMSの一種と捉えられています。
多くの企業が、この「CMSとしてのブログ」に注目しています。通常、ホームページを更新する場合には専門のプログラマーに作業をお願いしなければなりません。しかし、それではプログラマーの作業という余計な手間とコスト、時間がかかってしまいます。そこでブログを使えば、情報発信したいと思った瞬間に、誰でも、いつでもホームページの更新が可能になります。しかもブログは従来のCMSに比べて非常に安く、簡単に導入することができます。何よりも迅速な行動が求められる時代、企業がブログによる情報発信に注目するのは当然と言えるでしょう。
2. インターネット上での存在感アップ
調べものをしたり、プレゼントを贈ったり、地方の名産品を取り寄せたり、インターネットは私たちの生活にますます深く関わってきています。企業にとっては、もはや「ウェブサイトがあります」だけで良かった時代は終わり、SEO(Search Engine Optimization、検索エンジンの検索結果で上位に表示されるテクニック)やネット広告など、ネット上での存在感を増す努力をすることが迫られています。
ブログやSNSは、この点でも企業にとって魅力的なツールです。例えばブログを使えば、簡単にネット上での情報発信ができるので、鮮度の高い情報を高頻度で発信し、人々の関心を引くことができます。また、ブログは検索エンジンや他のサイトからリンクされやすいことに加え、RSSを通じて定期的に情報を見に来てもらうこともできますから、通常のホームページよりもアクセスが集まります。
一方SNSは、ユーザーが情報を探す際のポータル(入り口)となります。例えば野球のSNSを開設し、魅力的なコンテンツと多くのユーザーを集めることに成功すれば、ユーザーは野球に関する情報へアクセスするための出発点としてSNSを活用するようになるでしょう。そのようなポータルを実現することは、広告掲載による収入や関連製品、サービスの販売など、企業にとって多くのチャンスをもたらします。
また冒頭で述べた通り、ブログ、SNSのユーザーは急速に増加しています。企業にとってこうした分野に乗り出すことは、無視できない市場にアピールする意味もあります。
3. 消費者との深いコミュニケーション
大量生産でモノを作り、マスメディアで大々的に宣伝し、市場にバラまく形式でモノが売れた時代は終わりました。現在は消費者1人1人の顔を見て、同時に企業の顔を見せながらモノを売ることが求められています。ブログやSNSはそんな「消費者との深いコミュニケーション」を可能にするツールです。
繰り返しになりますが、ブログは誰でも簡単に情報発信することができます。これまでは考えられなかったような人々、例えば会社の社長や役員、商品開発に携わった企画マンやデザイナー、パート・アルバイトなどの人々が情報発信の担い手として活躍できるのです。彼らが個人として語りかけることで、マス広告では振り向いてくれない消費者の心がつかめる可能性もあります。さらに、ブログのコメント機能やトラックバック機能を活用すれば、消費者の生の反応を知ることも可能です。
SNSでは、メンバーがどんな人物で、何に関心を持っているかが明らかになっています。従って、より正確に人々の反応をつかむことや、特定のグループに向けてメッセージを発信することができます。例えば20代女性サッカーファンの反応を見て、商品開発にフィードバックするといったことが可能になるのです。またSNSではユーザー間に密接なつながりがあるため、情報がクチコミ形式で素早く広がります。これを利用して、企業は情報を効率的に広めたり、商品の販促につなげたりすることが可能です。