「詐欺的セキュリティソフト」が増加の見通し--2006年Q2のスパイウェア動向

柴田克己(編集部)

2006-08-23 19:16

 スパイウェア対策ソフトベンダーのウェブルート・ソフトウェア(ウェブルート)は8月23日、2006年第2四半期におけるスパイウェア動向の調査結果を発表した。

 これは、同社による世界規模での調査を元に、四半期に一度発行している報告書「State of Spyware(SoS)」の内容をベースとしたもの。それによると、個人ユーザーにおけるPCのスパイウェア感染率は、過去最高を記録した2004年以来の高レベルを記録したという。原因としては、対策ソフトの検知や駆除を回避する技術の高度化や、ソーシャルネットワークサービス(SNS)などの新たな流通経路の登場を挙げている。

 2005年下半期より減少傾向を示していた個人ユーザー(家庭用PC)のスパイウェア(トラッキングクッキーを含む)感染率は、2006年第1四半期において89%となっており、これまでのピークであった2004年第4四半期の92%に迫る勢いという。トロイの木馬の感染率も31%と、前四半期の29%、前々四半期の24%と比較して増加傾向にあり、特に「Trojan Downloader Zlob」と呼ばれるスパイウェアへの感染が増えているという。Trojan Downloader Zlobは、動画コーデックのインストーラなどに含まれる形で流通し、ユーザーのPCに入り込んだ後に、ユーザーに気づかれない形で別のスパイウェアをダウンロード、インストールするといった挙動を示すものだ。

 企業ユーザーの状況としては、特に「システムモニタ」と呼ばれる、クライアントPCの動作状況を監視するスパイウェアへの感染が、PC1台あたり約1.3個と、2005年第4四半期(1.1個)と比べて増加している。一方で、ポップアップ広告を表示するような単純なアドウェアは、法的な対策が行われたことなどを背景に減少傾向にあるという。

 企業、個人を問わず、増加傾向を示しており、今後も被害が増えると見られているのは、ユーザーのセキュリティ意識の向上に便乗した「詐欺的なセキュリティソフトウェア」によるものだ。

 これらのソフトウェアは、「ウイルスやスパイウェアへの対策ソフトである」との触れ込みでユーザーにダウンロードやインストールを促すが、実際には正しく機能しない。さらに、適当なタイミングで存在しない脅威を検知したとユーザーに告知して、駆除機能を動作させるためとの名目で、クレジットカードによる料金支払いを促すといった挙動を示す。日本語版のダウンロードサイトを用意しているものもあるため、日本での被害も増えているといい、同社では注意を呼びかけている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    マンガでわかる脆弱性“診断”と脆弱性“管理”の違い--セキュリティ体制の強化に脆弱性管理ツールの活用

  3. セキュリティ

    クラウドセキュリティ管理導入による投資収益率(ROI)は264%--米フォレスター調査レポート

  4. セキュリティ

    情報セキュリティに対する懸念を解消、「ISMS認証」取得の検討から審査当日までのTo Doリスト

  5. セキュリティ

    ISMSとPマークは何が違うのか--第三者認証取得を目指す企業が最初に理解すべきこと

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]