また、新たに導入するサーバのタイプを選択する際には、物理的なスケーラビリティという考え方も忘れてはならない点だ。スペースが制限されている場合には特に、ラックマウント型あるいはブレード型のサーバの方がタワー型のサーバよりもずっとスケーラビリティに優れている。タワー型サーバ数台分のスペースがあれば、10台以上のラックマウント型サーバを設置できる。ラックマウント型サーバの価格は高いが、そのコストは生み出されるスペースで相殺される場合もある。このことは、オフィススペースのコストが高い(つまり土地価格が高い)地域では特に当てはまる。
その一方、ラックマウント型サーバ自体の拡張性には限界があるということにも留意しておく必要がある。内部にドライブを追加したり、機能追加のために拡張カードを追加したり(例えば、マルチホームサーバのためにネットワークインターフェースカードを追加する必要が生じるかもしれない)するためのスペースはないと考えるのが賢明だ。拡張性に関するこういった制約事項は、現時点と将来における個々のニーズに照らし合わせて、スペース節約とのバランスを考えて検討するべきだ。
仮想化技術を用いたスケーラビリティの向上
サーバの物理的なスケーラビリティを向上させる方法として、高性能なマシンを購入し、仮想化ソフトウェアを用いて1台の物理サーバ上で複数の論理サーバを稼働させる方法がある。この方法を用いれば購入マシン台数を減らすことができるので、経費削減も可能だ。
サーバのオペレーティングシステムに複数のインスタンスをインストールするには、VMWareの無償の「VMWare Server」やMicrosoftの「Virtual Server 2005」を利用し、各論理サーバ上に適切なサーバアプリケーションをインストールすればよい。そうすることで、例えばネットワークからは個別のIPアドレスを有した異なる3台のコンピュータに見える3つの論理サーバを、1台のマシン上で稼働させることが可能になる。
スペースの拡張
スペースをいかに有効利用しようとも、いつかはそれ以上のスペースが必要になる。そのため、将来的にスペースを拡張する方法や場所について、当初から考慮しておくことは有効だ。サーバルームを、何年か後に利用可能な別の部屋に隣接している場所に設けておくことで、将来発生し得る頭痛の種をずいぶんと減らすことができる。サーバルームのフロア面積を2倍にするために、壁の向こう側の部屋に通じるドアを設けることと、オフィスビルの反対側にある2倍のフロア面積を持つ部屋に移るためにすべてのものを移動(配線のやり直しはさておき)させなければならないことを比べれば、どちらが好ましいだろうか?
企業が成長すると、新しいオペレーティングシステムやアプリケーションをチェックしたり、サービスパックやアップデートモジュールを業務ネットワーク上に展開する前に既存のアプリケーションとの互換性を確認したりするためのテスト用ネットワークや、パッチ管理を最適化するための配布用サーバなどを設置するためのスペースが追加的に必要になることに注意が必要だ。
まとめ
拡張性は、ネットワーク用のハードウェアやソフトウェアだけでなく、ネットワーク機器の設置スペースを選定する際にも重要な検討事項となる。