ユビキタスIDセンターは12月6日、日立製作所のICチップ「μ-Chip Hibiki」を「ucodeタグ」として認定すると発表した。
ucodeタグとは、モノや場所を認識する際に使われるID番号である「ucode」を格納するためのタグだ。ユビキタスIDセンターおよび同センターが所属するT-Engineフォーラムでは、ユビキタスコンピューティングの基盤技術確立に向けてさまざまな実証実験や実用化に向けた活動を進めているが、ユビキタスIDセンター 代表で東京大学教授の坂村健氏は、「こうした実験ではすべてucodeタグを採用している。すでに数十万個の規模で使われている」と話す。
ucodeタグは、インターフェースの方式により、「印刷タグ」(Category 0)、「RFタグ」(Category 1)、「RFアクティブタグ」(Category 2)、「赤外線タグ」(Category 3)の4種類に分類されている。また、提供するセキュリティ機能に応じて7つのセキュリティクラスに分類されている。セキュリティクラスには、データの一部が破損した場合に検出できる機能や、物理的に同一のものを作成することが困難な機能、通信状況などを特定されないようにする機能、タグの情報を不正に読み出せないようにする機能、データの有効期限を設定する機能などがある。
μ-Chip Hibikiは、UHF帯のRFIDで、ISO/IEC18000-6 TypeC対応、528ビットメモリが内蔵されている。日立製作所は、経済産業省の研究開発委託事業「響プロジェクト」にてプロジェクトリーダーを務め、低価格電子タグの実現に向けて開発を続けてきた。プロジェクト自体は2006年7月に無事終了したが、「その後、響プロジェクトのタグはいつ出るのかという問い合わせが相次いだため、UHF帯のタグに『Hibiki』の名称を使うことにした」と、日立製作所 情報・通信グループ トレーサビリティ・RFID事業部 事業部長の井村亮氏は説明する。μ-Chip Hibikiは、RFタグ(Category 1)に分類され、データ欠損検出機能(Class 0)つきだ。
ICタグのコード体系としては、別途EPCglobalも基準を設けているが、坂村氏は「EPCglobalは、認定するタグがISO/IEC18000-6 TypeC対応の1種類のみだ」と説明する。今回ucodeタグとして認定したタグはISO/IEC18000-6 TypeC対応のため、EPCglobalにも対応することになる。EPCglobalとの違いについて坂村氏は、「われわれは、モノや場所を識別するための番号を発行したいだけ。その番号に対応する情報は、ネットワークを介して入手するという考えだ。EPCglobalはタグそのものに情報を入れようとしている。そこが大きな違いだ」と説明する。
ucodeとEPCglobalそれぞれ異なるタグの基準が必要なのかとの問いに対し、坂村氏は「EPCglobalは欧米中心の規格だ。アジア諸国ではucodeが普及し始めている。また、EPCglobalは管理が米国中心だが、ucodeは分散管理しているため、こうした意味でもucodeを使いたいというニーズが高い。さらに、EPCglobalは主に物流に特化しているが、ucodeは消費者への情報提供というシーンでも使いたいと考えている。RFIDの市場は巨大で、タグを1種類に決める必要はない。適材適所で使い分ければよいのではないか」と述べた。