技術の進歩を止める法的な混乱
処方せんを必要とする薬を追跡することに関して、先ごろ裁判所が差し止め命令を下したことで、特に薬剤流通業ではEPCISの普及が遅れるかもしれない。
米食品医薬品局(FDA)は、米国内の製薬会社が薬剤の文書足跡(ペディグリー(血統書)と呼ばれる)に関する規制を満たすための最終期限を2006年12月1日に設定した。当局はRFIDを、規制クリアの助けとなる技術的な選択肢のひとつとして推奨した。「ePedigree」と呼ばれる手法である。
FDAの規制では、偽造薬品や流用薬品販売を防ぐための規則として、二次卸業者に文書足跡情報を製造時点まで遡って提供する義務を課している。しかし、これは本質的に、薬剤の製造情報を入手することが難しい二次卸業者を排除する規制であるとして、小規模卸業者のグループが、FDAに対してニューヨーク東地区裁判所に提訴した。結果として、この規制は一次卸業者と流通業者にとって有利なものになっていると、原告側は述べている。
Joanna Seybert裁判官はFDAの規制に対する差し止め命令を認め、12月11日にこれを交付した。Liard氏によると、この決定が技術標準の普及を直接的に遅らせるわけではないが、他の州でも同様の訴訟が争われており、企業の出足が止まってRFID技術の採用が遅れる可能性があるという。
「差し止め命令は製薬会社によるRFID技術の採用を妨げるものではない。しかし、規制にはePedigreeを推奨する規定があり、もう一方ではその規制に対する差し止め命令が出ている。ややこしい事態になってきている」(Liard氏)
IBMは、最終的な結論がどちらに転ぶとしても、最近の法的な動きが技術の普及に影響を与えることはないだろうと述べる。
同社のClauss氏は、「FDAは連邦議会からの要請なしに法制定はできないと言っているが、最近の発表を見ると、彼らの態度は非常に曖昧だと思う」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ