グーグルのクリス・ディボナ氏:「われわれはプロプライエタリソフトも重視している」 - (page 2)

文:Joris Evers(CNET News.com) 翻訳校正:編集部

2007-01-17 08:00

--Googleからオープンソースプロジェクトが生まれたことはありますか。

 当社はたくさんのコードをリリースしてきましたが、まったく新しいコミュニティを作るより、既存のコミュニティに参加する方が多いです。新しいカーネルを作るなら、(Linux)カーネルにパッチを当てます。新しいApacheを作るなら、Apacheにパッチを当てます。その方がうまいやり方だと思っています。

--GoogleやGoogleの社員が関わっているオープンソースプロジェクトの代表的なものを挙げてください。

 Apache関連のさまざまなプロジェクトとApache Software Foundation全般です。Andrew MortonがGoogleに入社しましたので、Linuxカーネルも加わりました。MySQLにはいくつかのパッチを提供しましたが、トップ5には入りません。OpenBSDとOpenSSH--この2つのプロジェクトには多くのGoogle社員が参加しています。

--Firefoxもそうでしょうか?

 もちろん、Firefoxもです。なぜか名前を挙げるのを忘れていました。

--Firefoxはクライアントアプリケーションですが、それ以外はすべてサーバサイドのプロジェクトですね。これは偶然ですか。Googleはサーバプロジェクトに力を入れているのですか。

 一般にはそうです。

--それはGoogle自身がそれらのソフトウェアを使っているからでしょうか。

 その通りです。当然ですが、パッチを作るのは当社にとって重要なファイルであるから、というケースが圧倒的に多いです。当社とほとんど関係のないファイルをリリースしたこともありますが、通常は当社にとって重要なファイルに的を絞っています。

--Googleはどんなオープンソースソフトウェアを使っているのですか。

 まずはLinuxカーネルです。それからGNUツール、Free Software Foundationのコンパイラ群もたくさん使っています。Apacheライブラリも利用しています--Apacheウェブサーバはたまにしか使いませんが、ライブラリは頻繁に活用しています。OpenSSLとOpenSSHもよく使いますね。PythonやCなどの言語も使っています。MySQLもかなり利用しています。

--どのバージョンのLinuxを使っているのですか。

 「Goobuntu」です。これはGoogle仕様のUbuntuで、社内のデスクトップに利用しています。サーバシステムは古いRed Hatマシンをベースにしていますが、ずいぶん変えてしまったので、今ではほとんどオリジナルと言ってよいかもしれません。オペレーティングシステムは以前はRed Hat一辺倒でしたが、だいぶスリム化し、変わってしまったので、今はそうでもありません。

--デスクトップにはUbuntuを使っているということですが、何か理由があるのですか。

 創設者が宇宙に行ったからです!とにかく気に入りました。動作が安定していますし、とてもユーザーフレンドリーです。管理もすばらしい。更新の頻度も高く、非常に安全です。コードも洗練されています。彼らはDebianをもとに、すばらしいプログラムを書き上げました。とてもよい仕事をしたと思います。もちろん、そのまま使ったわけではありません。Googleのネットワークで使用し、ソフトウェア開発者が必要なツールを利用できるよう修正を加えました。

--Net Trustのようなプロジェクトに資金を提供する場合、特定のオープンソースライセンスへの準拠を求めますか。

 通常はApacheライセンスを使っていますが、相談に応じます。

--なぜApacheライセンスが気に入っているのですか。

 ユーザーが準拠しやすいからです。われわれ自身はGNU GPL(General Public License)、GNU LGPL(Lesser General Public License)、MPL(Mozilla Public License)、CPL(Open Source InitiativeのCommon Public License)といったライセンスにも問題なく準拠できますが、ユーザーは苦労するかもしれません。資金提供を受ける側が、そのプロジェクトを十分に活用することができるように、物事は簡単にしたいと思っています。

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