「Vista」発売前夜、B・ゲイツ氏インタビュー:「百聞は一見にしかず」(後編)

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:佐藤卓、長谷睦

2007-01-31 19:56

 ニューヨーク発--「Windows Vista」を使うとどんなメリットがあるのか、実はよくわかっていない?そんな人のために、Bill Gates氏は喜んで説明してくれるだろう。

 Microsoftの新しいOSをいいかげんに評している評論家もいるが、同社会長のGates氏によると、3〜4分間のデモを経験すれば、Vistaには「Windows XP」を超えるよさがたくさんあることを多くの人が納得するという。

 Vistaおよび「Office 2007」の一般向け発売を翌日に控えた米国時間1月29日、Gates氏はCNET News.comのインタビューに応じた。2部構成のインタビューの前半で、Gates氏は評論家たちの意見を受けて、Vistaの売りを簡潔に説明し、ピア・ツー・ピア(PtoP)コンピューティングの復活の可能性について話している。

 また、数日中に掲載予定のインタビュー後半で、Gatesは「Xbox」と「Windows Live」について話し、現在のようなテレビは時代遅れなのかという問題を語っている。本記事はそのインタビューの後編となる。

--PtoPと言われましたが、最近は、PtoPがあまり話題になりません。PtoPは楽曲共有のころから、悪評にさらされてきたと言えます。PtoP技術が復活する状況は整っているのですか?どんなことが可能となるのでしょう?

 われわれには豊富なAPIがあります。実際にこれを利用することで、近くにいる人とのミーティングを設定し、同じ画面を共有することもできるようになります。こういうことをすべてのソフトウェア開発者が足場にできるというふうにはこれまで考えられていませんでした。たいていの人がそれぞれのインフラを構築しなければならず、それはすなわち、用途も非常に限定されたものになることを意味しました。現在、(ソフトウェアベンダーは)共通で、PtoPアプリケーションを作成できます。どこまでできるようになるかを示してくれるのは、ソフトウェアベンダーにかかっています。

--MicrosoftがVistaで取り入れようとしたことの1つは、PCの性能をメガヘルツで測るのは最善の方法ではないという考え方です。「Windows Experience Index」は、PCの性能を全体的にとらえて判断しようという試みでした。これが初期のころのテストバージョンではきわめて強調されていましたが、さほど強調されなくなってきたように思います。今も重要性は変わりませんか?

 この点に関して、われわれのチームはすばらしい仕事をしてくれました。そのおかげで、グラフィックスやプロセッサなどの項目ごとにスコアが見られるようになっています。また、システム全体の基本スコアも確認できます。ユーザーがこのような診断を行ってその結果を理解するのは非常に難しくなっていたので、われわれはいくつかの主要な項目を数値スコア化し、一覧形式で表示するようにしました。これを利用すれば、ゲームを選んだり適切なハードウェアの種類を確認したりするのに役立ちます。これは、(われわれが)業界といっしょに、これまでは非常に複雑だった情報を数値化するため、多くの努力をしてきた結果です。

--Vistaへの評価は今のところ、必ずしもよいものばかりではありません。そのことについてどう感じていらっしゃるのか、興味があるのですが。

 実際には、ほとんどの評価は非常に肯定的なものです。いくつかの点で、スケジュールの問題を取り上げる人たちもいましたが、開発中だったすばらしい機能の数々は忘れられていたのです。ですから、今Vistaを目の当たりにした彼らは、これがVistaだったのかと少し驚いているのです。

--振り返れば、2003年にロサンゼルスで開かれた「Professional Developers Conference」で、あなたはVistaの方向性を示すビジョンを明らかにしていました。今回発売されたVistaでは、そのビジョンがどの程度反映されたとお考えですか?

 われわれがやろうと思っていたことは、ほぼすべて実現できました。ただし、ファイルシステムをデータベースのような方式に変えることは実現しませんでした。その実現はもう少し先になります。ですが、その点を除けば、豊かな表示機能、セキュリティ機能、それに組織内での共同作業に関する機能の強化はすでに実現されています。これはめざましい進化です。もちろん、今後ももっとよくなりますが、これらの基本機能によって、Windowsコンピューティングははるかに使いやすいものになるはずです。

--今回、OfficeとVistaを一般の消費者が購入できるようになりましたが、大企業ユーザーへの提供は2006年の11月から開始されています。企業ユーザーのVistaへの移行はどのくらい早く進むとお考えですか?

 われわれは、大企業の顧客をいくつか抱えています。たとえば、Citicorpは35万台のデスクトップPCを利用していますが、2007年中にVistaに完全移行することを決めました。ソフトウェアの配布はネットワーク経由で行われるケースが非常に増えたため、クライアントマシンの場所に出向く必要はありません。企業ユーザーにとっては、以前よりアップグレード作業が簡単になっています。企業向けライセンスを所有する多くのユーザーが、ネットワーク経由でのアップグレードを利用できるため、新しいVistaは以前より早く移行が進むと、われわれでは考えています。もちろん、通常は一般ユーザーの方が企業ユーザーよりも早く新製品に移行します。しかし、われわれは、今までで最も簡単に移行作業ができる仕組みを作り上げました。

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