サーチの本当の価値はどこにあるのだろうか。米国サンディエゴにて開催中のFast Search & Transfer主催のイベント「FASTforward 07」にて、同社の戦略マーケティング担当シニアバイスプレジデント Zia Zamen氏が語った。
Zamen氏によると、サーチの価値のひとつは、サーチが利益に直接結びつくものであることだという。企業は情報などの資産を数多く持っているが、それをうまく活用できていないケースも数多い。そこで「砂漠で水を探すようなものだが、企業の中でどこに利益のプールがあるのか見つけ出さなくてはならない」とZamen氏。Fastは「顧客がどういった資産を持っているかを元に、そうした資産をうまく利益に結びつけるための支援をする」と話す。
Zamen氏はまた、英Economist Groupの調査部門、EIU(Economist Intelligence Unit)の調査から、「サーチを利用することがイノベーションコストの削減につながったという結果も出ている」と言う。それは、「イノベーションを行う中でデータ検索は欠かせない作業であり、サーチをうまく活用すればそれだけ人も時間も少なくて済むためだ」とZamen氏。フォールスポジティブも大幅に削減できるという。
また、「サーチは、ユーザーと答えを結びつけるものだ」とZamen氏。サーチは例えば、ユーザーとエキスパートを結びつけるためのツールでもあり、決断するにあたってのコンサルティングツールともなる。「買い物をする際のアドバイスもサーチで得ることができる。サーチは、ユーザーのニーズを理解してくれる。何が欲しいのか、ユーザーのわかる言葉に置き換えて見せてくれる」とZamen氏は話す。「このコネクションこそがサーチの中核だ」(Zamen氏)
Zamen氏は、ビジネスを改善できる例として、ある製薬会社を例に挙げた。その製薬会社は、薬の副作用で訴訟を起こされたが、その副作用はすでに他国で証明されていたものだったという。「情報には霧がかかっていることも多く、自分の見える範囲で決断を下す場合も多いが、その霧をなくすのがサーチだ」とZamen氏。イノベーションには迅速な動きが求められることもあるが、「サーチは正しい決断を下すための支援をする」とZamen氏は忠告する。
Fastは1月に、サーチに基づいたBIとして「Adaptive Information Warehouse(AIW)」を発表している。AIWは、ウェブ上でのBIポータルとなる「Fast Radar」と、構造的、非構造的なデータを問わずさまざまなソースから情報をサーチできるという「Fast Data Cleansing Solution」を中心としたものだ。「既存インフラの上に、情報にアクセスするためのレイヤを置くイメージだ」とZamen氏は説明する。
こうしたサーチの使い方をZamen氏は「マッチングサービス」と呼ぶ。神経衰弱ゲームのように、記憶をたどってカードをめくるには限界がある。「すべてを記憶することは無理なので、いかに情報を整理して見せるかにサーチの価値がある」とZamen氏は述べた。