デルは3月5日、同社の2008年度(2007年2月〜2008年1月)における日本での事業戦略を発表した。その中でデル 代表取締役社長のJim Merritt氏は、「デルのビジネスに価値を与える分野であれば、日本での買収も視野に入れている」と述べた。
具体的な買収先を考えているわけではないとしながらも、Merritt氏は「特にわれわれが今年度フォーカスしたいと考えているサービス分野、中でも中小企業向けビジネスを拡充できる分野であれば買収の可能性がある」としている。
デルでは、2008年度の注力分野として、サーバやストレージ製品などのエンタープライズ分野と、「デル・プロフェッショナル・サービス(DPS)」や「デル・マネージド・サービス(DMS)」などで提供しているサービス分野、ソフトウェアおよび周辺機器の分野、そしてコンシューマー分野を挙げている。現在、同社のエンタープライズ分野は出荷台数の成長率が年率10%、サービス分野の売上成長率が66%、ソフトウェアおよび周辺機器の売上成長率が33%、コンシューマー製品の出荷成長率が14%となっており、特にサービス分野の成長が著しい。
この成長についてMerritt氏は、「これまでのようにハードウェアを売るだけでなく、顧客により付加価値の高いものを提供できるよう、サービスを強化した結果だ」と話す。「特に保守サービス内容の再構築は、日本の中小企業にアピールできる」とMerritt氏。
デルでは、こうした分野を強化するために人員増強も実施した。2007年度には、テクニカルサポートの人員を400〜500人程度増やし、現在約1000人程度がこの業務にあたっている。また、DPSやDMSなどの人員については、「現在150人程度でサービスを提供しているほか、パートナーの協力も得ているが、2008年度は15%から20%の人員を増強したい」とMerritt氏は述べた。
顧客分野では特に中小企業向けビジネスを成長させるとしているが、その具体策としてはMerritt氏は、「すでに大企業に向けて提供しているような、サーバやストレージの統合、仮想化ソリューション、Exchangeへの移行などのサービス内容をパッケージ化している。このような幅広いサービスメニューで、中小企業に高い価値を提案していきたい」とした。